痛い・・。口の奥のほうに少しだけ頭の出てきた親知らず。以前からなんだか違和感があったけど、なんだか痛くなってきた…。どうしよう。
そんな思いを抱えながら一日を過ごしている人も多いかと思います。
痛い親知らず、歯医者さんに行く前に自分でできる痛みへの対処法と
歯科医院に行ったらどのような痛みを取る処置をされるのか、そんな疑問にお答えします。
そもそもの原因は、親知らずが他の歯と比べて埋もれて生えていることにあります。
親知らずは一番前の歯から数えて8番目の位置に生えてきます。
生えてくるタイミングはまちまちですが大体10代後半から20代前半に生えてきます。
顎の骨のスペースが不足していることが多いため、他の歯の様にまっすくかみ合わせの歯とかみ合って生えている場合は少なく、
- 斜めに生えてる場合
- 歯の頭(歯冠)が半分埋まっている場合
- 歯の頭が出てこず全部埋まっている場合
- もともと親知らず自体がない場合
など人によっていろんな生え方をしています。
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親知らずは埋もれて生えているため汚れがたくさんたまりやすい!
歯が斜めを向いていたり、埋まっていたりなど、生え方が良くないと、歯ブラシが届きにくくなったり、隙間に汚れがたまりやすいところができます。
どうしても食べ物の汚れや最近の塊(プラーク)がたまりやすくなってしまいます。
プラークは歯にとって大敵です。プラークが歯についたままになってしまうと以下の歯の疾患が起こってしまいます。
汚れがたまっていることで起こる痛みを招く歯の疾患とは?
親知らずの周りの歯ぐきが腫れる(智歯周囲炎)
親知らずが痛いときによく見られる疾患の一つとして智歯周囲炎があげられます。
磨きにくかったり、また、親知らずの生え方が斜めになっていて汚れがたまりやすい隙間ができてしまうことがあります。
そうなると、どうしても歯ブラシが届かず、そこにプラークなどがたまります。
すると、歯の周りの歯肉に炎症が起こることにより痛みが生じます。
親知らずが虫歯になり痛む
親知らずが痛いときに見られるものとして、虫歯(う蝕)があります。
虫歯はプラークの中のストレプトコッカスミュータンスをいう細菌が原因で起こります。
虫歯は歯の表面のエナメル質、象牙質を溶かすため、
- 初期は冷たいものでしみるような痛み
- 進んでいくと熱いものでしみたり
- 最後には歯髄炎という神経に細菌が感染してしまっている状態
になり、最後の段階になるとなにもしなくても痛くなってきます。
親知らずにかぶっている歯ぐきを噛んでいる
親知らずが歯茎から歯の頭(歯冠)が出来っておらず、歯茎が噛み合わせの面にかぶってしまっていることがあります。
そこを噛んでしまい、痛みが出ることもあります。
親知らずが前の歯を押してしまう事も!
親知らずが斜めに生えている場合は、生えている最中で前の歯を押すにより痛みが出る場合があります。
親知らずの痛みへの応急処置!4つの対処法
その1:解熱鎮痛剤を飲む
痛みは、歯ぐきからが原因の場合も虫歯からが原因の場合も、身体に「プロスタグランジン」という炎症や痛みを引き起こす物質が増えていることにより発生します。
この「プロスタグランジン」という痛みを引き起こす物質を阻害するのが ”NSAIDS” と言われている種類の解熱鎮痛剤となります。
薬剤の種類で言えばロキソプロフェンナトリウム(ロキソニン)などがあります。昔は病院で処方されるしか入手できなかったものも今は薬局で市販されているものもあります。
これらのお薬を飲む事により親知らずが元で発生した痛みの物質が阻害され和らげることが出来ます。
また、これらのお薬は胃を荒らす可能性があるので、服用する時は何かおなかに入れてから服用するほうが良いかもしれません。
その2冷やす
痛みは炎症が起きていることにより生じています。炎症を効果的に減らすのに「冷やす」という方法があります。
氷などをビニールに入れてタオルにくるみ、頬に充てて冷やしてみましょう。
その3親知らずの周囲を優しく清潔にし、食物やプラークを取り除く
炎症の原因になっているのが、食べ物のつまりであったり細菌の塊(プラーク)であるとするならば、それを取り除くことにより痛みが軽減する可能性があります。
強く触ると痛いので、優しい力でブラッシング等をして、歯と歯ぐきの間の食べ物の詰まりやプラークを取りましょう。
ブラッシングで取れない場合はぬるま湯で優しくうがいをするのも効果的です。
その4消毒効果のあるうがい薬でうがいをする
親知らずが痛い原因が、歯茎に菌が悪さをしている場合だったら、消毒効果のあるうがい薬でうがいをし、菌の数を減らす事も効果が出る可能性があります。
ポピドンヨードなどの入っているうがい薬(明治うがい薬)などでうがいをしてみましょう。
たまに「イソジンを直接塗ったら痛みに効いた」という掲示板での書き込みがありますが、イソジンはたんぱく質を変性させて消毒効果をもたらす作用を持っていますので、むやみに自己流で使用するとかえってお口の中の粘膜を痛めてしまう可能性もあります。
あくまで用法容量や使用上の注意事項は守ってお使いください。
気を付けて!そのまま放置していると他の歯に被害がでることも
このようにいくつかの応急処置がありますが、これが効いて痛みが治まったら歯科医院に行かなくてもいい‥訳ではありません!
親知らずが痛いときには歯の疾患が潜んでいます。また、このようになっているときに気を付けなければいけないのは、親知らずだけでなくほかの歯にも悪影響を及ぼしていることがあるので気をつけねばなりません。
例えば虫歯ができている位置が前の歯との間だったら、前の歯も虫歯になっている可能性があります。
また、歯冠周囲炎もプラークがたまっている歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)が前の歯との間だったりすると、そこでの炎症が持続すると歯と歯茎の間の骨が溶けてしまい、歯周ポケットが深くなる状態、いわゆる歯周病の状態ができてしまいます。
また、斜めに生えていて歯を押している状態の場合はほおっておくと歯並びが乱れてしまうという悪影響が出てきます。
早めに歯医者さんに行きましょう!
このように、親知らずの痛みは歯の疾患が隠れているサインです!
応急処置で一時的にはいたみから逃れることが出来ても、痛みの原因がある限りは、悲しいかな放置しておいても改善する、ということはあまりありません。
でも、歯医者さんに行けば、適切な処置をしてもらえてその痛みから解放されます。
歯科医院で行われる4つの痛みを取る応急処置
歯医者さんも来たその日に抜きましょう!となることは実は少ないです。
実は親知らずをはじめ、抜歯するための麻酔はその歯や歯ぐきが痛かったら効きにくくなるので、いったん「痛みを取る」という応急処置を挟むことが多いです。(場合によりますが)
痛みを取る応急処置の方法は以下のものがあります。それぞれの原因に合わせて組み合わせて処置されることになります。
虫歯の穴をきれいにして、仮詰めする
親知らずの痛みの原因が虫歯だった場合、その穴に詰まっている食べ物や細菌を取り除き、穴に仮詰めをすることにより痛みを取り除きます。
食べ物や細菌が取り除かれるとだいぶ楽になります。
また、虫歯の為に神経が痛んで歯髄炎が起きていると考えられる場合は神経を鎮める薬を詰めることもあります。
神経の処置をする
虫歯の穴が大きく、神経にまで及んでいて、ズキズキと激しい痛みが止まらない場合(自発痛)、そのままでは痛みが治まらない場合は麻酔をしていたんだ神経を取り除く処置を行います。(抜髄)
痛みの原因がこの神経の炎症による痛みだった場合は
この処置(神経の処置)をすることによりすっと痛みが消えます。
歯ぐきの洗浄
痛みの原因が食べ物がや細菌が歯ぐきに詰まったためだった場合は、その部分を洗浄し、詰まったものを取り除きます。
歯ぐきに薬を入れる
詰まったものを取り除いても、腫れや膿の排出(排膿)があった場合は、そこに細菌が感染していて炎症が起こっています。
その場合はその詰まったものを取り除いた後の隙間に抗生物質の外用薬を入れます。
直接歯ぐきに抗生物質を入れることにより感染が治まり炎症が消退していきます。
歯茎にレーザーを当てる
歯ぐきが腫れている時、レーザーを当てるのも効果的です。
歯科でよく使用されているエルビウムヤグレーザーは出力によっては歯ぐきの治癒促進作用もありますので炎症で傷んだ歯ぐきを早く治す効果があります。
鎮痛剤の処方
歯科医院でも痛みの原因物質を取る鎮痛剤が処方されます。
痛みの強さによって、
- カロナール
- ロキソニン
- ボルタレン
などが処方されます。
これらの薬は胃が荒れてしまう事もあるので、一緒に胃薬を処方されることもあります。
抗生物質の処方
痛みの原因に細菌感染による炎症が疑われた場合は抗生物質が処方されます。
痛みの元となっている細菌がいなくなることにより炎症が治まり痛みが軽減します。
応急処置の後も歯科医院に行きましょう!
歯科医院の応急処置で、もう一つ痛みが楽になるはずです。
でも、
「もう痛くなくなったからいいや」とそのままにしておくのはよくありません。
繰り返しますが痛んだのには原因があります。
応急処置で痛みがなくなった後には根本的な処置が必要です。
痛みのない時でないと行えない処置もありますので、収まった後、痛くなくなったからと自己判断せずにその後どのようにしたらいいかはしっかりとかかりつけの歯科医院の先生に聞いてみてくださいね!
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