親知らずって抜くのが大変だった、抜いたあと痛かった、腫れた、とかよく聞くけどそんなに大変なのかな‥怖い‥。
と思われている方、たくさんいらっしゃると思います。。
親知らずを抜かなきゃいけない状態って、なかなか想像できないし、怖いイメージばかり一番知りたいところですよね。。
実は歯医者さんは抜く前に「痛みでそうだな、腫れそうだな」と言うのはだいたい想像ついています。
この記事はそのことについてこそっとお伝えしようと思います。
そもそも何で親知らずを抜く時、大変だったり腫れたり痛みがでたりするの?
そもそも何で親知らずを抜いた後に痛みや腫れが出てくるのかというと…。
親知らずを抜く時の腫れは、周りの骨を削ったり押して痛めてしまうことにより生じます。
通常、歯を抜歯する際、歯は歯ぐきの靭帯にしっかりくっついて生えています。
そのため、
- まずは歯を脱臼させて、
- 周りの骨などを押し、
- こじるようにして
抜きます。
このような通常の抜歯の処置の際、骨を削ったり、押したりする度合いが大きいかによって、骨にダメージを与える度合いがかわってくるんですね。
それによって腫れたり痛みが出たりします。
その上、親知らずは歯と骨の位置関係から、歯を割ってバラバラにして取り出したり、歯ぐきの骨を削らないと抜けない場合も多々あります。
そのような処置が必要になってくると、時間も手間もかかり、いわゆる抜くのに大変、という印象になりますし、抜歯のみの処置よりも歯ぐきの骨にダメージを与えます。
そのため、親知らずは抜くのに大変だったり、痛みや腫れが出るという場合が多いのです。
要するに、親知らずを抜くのに大変で、骨を削ったり押したりしないと抜けなかった場合は、その後の痛みも大きい場合が多いです。
実は親知らずといっても抜く難易度は千差万別。難易度の低い歯と高い歯では抜歯の大変さもそのあとの痛みもだいぶ変わってきます。
親知らず、と一言に行っても、全部同じくらい難しい訳ではありません。
数分でポロンと抜けてしまうものもあれば、とても時間の掛かってしまうものまで千差万別です。
ではどういうものが難易度が高いのでしょうか?
時間の掛かってしまうもの(特に下の親知らずが多いです)、腫れたり痛みが出るものはレントゲン写真からおおむね予想がつくことが多いです。
これからどういうところを見て難しいかどうかを判断しているのかお伝えします。
何で難易度が変わってくるの?(下顎を中心に説明)
親知らず、特に下顎はいろんな生え方をしています。
こういう風に歯の頭(歯冠)がしっかり見えているものから‥
こういう風に頭だけちょっこり見えているものまで。
歯は大体歯の頭がほぼ真上を向いて生えてきますが、親知らずは特殊で、歯の頭が上向きに生えてくることが少なく、斜めに生えたり、横向きに生えてきてしまう事が多いのです。
口の中からはこう見えていますが、断面図はこうなっています。まずは頭がしっかり見えているほうの断面図です。
点線が歯ぐきのラインです。歯ぐきの下は歯槽骨、と言われる歯茎の骨で支えられていています。また、歯は、根っこの先のほうから神経の管が出ていて、その管は歯ぐきの骨の下のほうにある太い神経の管とつながっています。
歯の抜歯の難易度は、ここで書かれているような歯と骨や神経の管などの位置関係で変わってきます。
抜歯が難しくなるかどうかのポイントは
ではどうなっていたら難しいか、見極めるポイントとしては
- 歯ぐきの骨が親知らずの上のほうにあって引っかかっていないか?
- 親知らず根っこの先が太い神経の管と近くないか、接していないか
- 親知らずの根っこが歯ぐきの骨を抱えていないか?
- 歯が虫歯になっていないか?
- 歯が歯ぐきの骨にくっついていないか?
などがあげられます。
それぞれのポイントで難しいところが多いと、例えば抜歯そのものに時間がかかったり、また抜歯の後で腫れたり、痛みが出たりと影響が出てくるところが多いです。
ではそれぞれに対して説明していきますね!
図1
図2
さっきの頭がしっかり出ている親知らずとちょっこり出ている親知らずの断面図を並べてみました。(それぞれ、図1、図2とします)
歯ぐきの骨が親知らずの上のほうにあって引っかかっていないか?
図1の歯と歯ぐきの骨に〇をしている部分、ここの部分で歯ぐきの骨がが歯の抜ける方向に覆いかぶさって埋まっているような状態だと抜けにくくなります。
図2の歯ぐきの骨は覆いかぶさっている状態ですよね。この状態だと歯を割ったり、歯茎の骨を削ったりしないといけないので抜歯に時間が掛かったり、あとで腫れたりすることが多いです。
親知らず根っこの先が太い神経の管と近くないか、接していないか
根っこの先からつながっている太い神経の管は下顎管といって、口周りの神経が集合してその中を通っています。
唇の感覚をつかさどる神経なども通っていますので、もし抜歯する時に神経の管を痛めてしまうと、唇の感覚が麻痺したりすることもあります。一般の歯科医院ではなかなか対応することが難しいので、神経を痛めそうなくらい親知らずの根の先と神経の管が近い場合は口腔外科など何かが起こった時に対応してくれる設備のある病院を紹介することが多いです。図2のように距離がない場合、抜歯しているときに上から押すような力が掛かってしまうと、麻痺が出てしまうことがあります。
親知らずの根っこが歯ぐきの骨を抱えていないか?
親知らずは形も千差万別で、根っこの先が開いているもの、閉じているものいろいろあります。
図1は根っこの先が閉じていて骨を抱えていませんが、図2は、根っこ先が開いていて、しかも歯ぐきの骨を抱えているような状態になっているので、歯を割って取り出す必要があります。
歯が虫歯になっていないか?
これもよくあります。歯の冠のところが虫歯になっていて、ボロボロと欠けていって、掴むところが無くなって難しい・・(泣)地味に歯科医泣かせです。痛みや腫れとは関係ありませんが、時間がかかります。
歯が歯ぐきの骨にくっついていないか?
これもたまにですが、歯と歯茎の骨が癒着することがあって、そういう時は抜きにくくなります。
上顎はどうなの?
上顎の親知らずは下顎に比べて頭が出ていることも多く、難易度は低いことが多いです。
たまに根っこがしっかりしている人がいて時間がかかったりすることもありますが頻度は稀です。
術後で起こりうることとして、抜歯の穴が上顎洞という鼻の空洞に抜けてつながってしまう事があります。
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親知らずを抜いた人たちを見ての私見(こっそり)
ネットで見ているとどうしても痛かった、大変だった、という声が多いですが、私は一般歯科、いわゆる普通の歯医者さんで診療していますが、普段の親知らずの抜歯の経過を見ていると、次の日には落ち着いている人が多いように思います。
客観的な数字はないのでなんともいえませんが。。
そのうち統計でも取ってご紹介できればなあと思います。
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