なんで歯医者は虫歯治療に何回も来させるの?通院回数の謎に迫る

歯科治療に何回も続き心が折れそうになるイメージ虫歯治療

冷たいものや熱いものがしみたから歯医者に行ったんだけど、おんなじ歯に何回も治療して終わる気配がない。なんで歯医者は虫歯治療に何回も来させるの??

通いながらも不思議に思っている人も多いのではないでしょうか?

歯医者さんは決して通院回数を増やしてお金をとろうと思って回数を増やしている訳ではないんです。

何故虫歯治療の通院回数が多いのか解説していきますね。

スポンサーリンク

歯の治療回数は虫歯の進行度合いと関係してきます。

実は虫歯でも色々あって、治療が一回で終わる虫歯もあれば、何回もかかる虫歯もあります。

虫歯の治療回数に一番関係するもの、それは

虫歯の進行度です。

虫歯の進行度合いによって虫歯の治療にかかる回数が大きく変わってきます。

 

Dr.Den
Dr.Den

歯がズキズキと痛いわけではなく、「軽い虫歯だ」と思っていても、虫歯が大きく進行しており、回数がかかる場合はよくあります。

では、「虫歯の進行度」が具体的にどのように進行していたら回数がかかるのでしょうか?

キーワードは神経(歯髄)への虫歯菌の感染です。

あまり痛くなくても、熱いものや冷たいものがしみた時点で歯の神経が菌に感染している場合があります。

これは歯の断面図です。

歯の中には神経があります。

虫歯は虫歯菌が歯を溶かすことによってできます。

虫歯菌がじわじわと歯を溶かして中に進んでいき、歯の中の神経まで到達します。そして、歯の中の神経に菌がはいる、すなわち感染してしまいます。

Dr.Den
Dr.Den

この、神経に虫歯菌が感染しているかどうかが、虫歯治療に長くかかるかどうかの分かれ道です。

感染のはじめはズキズキとした痛みはありません。冷たいものや、熱いものにしみるといった症状だけです。

 

Dr.Den
Dr.Den

ほとんど痛くないのに治療が長い、神経を抜かれた、などはこの段階で虫歯がみつかって治療をおこなったから、ということが多いですね。

実は、歯がズキズキとずっと痛い、というのは感染してだいぶ状態が悪くなってから起こるものです

ですので、少し痛い状態でも菌が感染している可能性が十分にあります。

実際、レントゲン写真では小さい虫歯でも、虫歯菌を除去していくと、結局歯の神経まで虫歯が到達してしまっていることがよくあります。

Dr.Den
Dr.Den

もともと神経は無菌の状態であるものなので、いったん感染してしまうと神経を元の状態にもどす、ということはできません。

いずれはもっとひどい炎症を起こしてしまい、神経のあった根っこの管の内側まで虫歯菌が住み着いてしまいます。

ですので、菌が感染した状態が確認された歯は神経の処置をします

(自費の診療の場合、抗菌療法もあるようですが、標準的な方法ではありませんのでここでは一般的な処置について書きます。)

この、神経の処置が必要になると、虫歯治療の回数がたくさん必要になるのです。

神経の処置には回数が掛かります。

Dr.Den
Dr.Den

このように、神経に虫歯菌が感染している歯は、虫歯処置+神経の処置を行います。

神経の処置は、

麻酔をして神経を取り除く
神経を取った管の中で菌が感染している部位を取り除く
神経を取った管の中に薬を入れてしばらく置き、消毒をして菌の少ない状態にする。
菌のいない状態にしたら最終的な薬を緊密に詰める

といった処置をしなければいけません。

これらの処置はそれぞれ時間がかかり、大体治療の回数としては3~4回くらいかかります。

神経の処置の後は虫歯で歯を失った部分を補う処置をしなければいけません。

ここまでで、神経(の入っていた管も含めた)処置が終わりました。

しかし、そのあとにさらに今度はもともとあった虫歯と、神経の処置をする際にがらんどうになった神経の入っていた空洞を埋める処置をしないといけません。

神経を抜いたら歯の内部に空洞ができます。そこに土台をいれます。それを支台築造といいます。

土台についての関連記事↓

 

差し歯・銀歯の土台とは?作り方や材料について解説します
銀歯、差し歯は土台の材質でその後の見た目や歯の持ちが変わる事があります。土台の種類やそれぞれの土台の欠点、利点、費用などについて歯科医師が解説します。

 

支台築造には、レジンという樹脂でするには1回、鋳造した金属で処置をするにはかたどりと接着の2回回数がかかります。

 

そこまでした後にやっと、詰め物、被せものによる虫歯の処置ができます。

詰め物(インレー)、被せ物(クラウン)はそれぞれ技工士さんに作ってもらうのでかたどりと接着の2回の来院が必要になってきます。

神経の治療には治療回数は10回、神経の治療なしで済む虫歯にかかる治療回数は最短1回

ですので、ざっと計算して、神経の処置が必要になった虫歯治療は

一つの歯の治療に6回~10回くらいかかるのです!

 

ちなみに神経の治療なしだと最短で1回で終わります。

レジン充填という歯によく似た強度の樹脂を詰める治療だったら1回です。

大きく虫歯になっているところには使用できないので、そういう部分の虫歯は保険の範囲内だったら金属の詰め物(インレー)になります。金属はかたどりして技巧所で作製してもらうので、虫歯除去・かたどりで1回、取り付けで1回になり、合計2回の治療となります。

治療回数に関しては保険診療で決まっています。

こんだけ手順を踏まないのはわかったけれども、期間を詰めて治療してもらうことは出来ないの・・・?

と思う方もいらっしゃるかと思いますが、実は治療回数は保険診療では大体決まっていて、いっぺんに出来ることに限りがあります。

逆に言うと、保険診療でなければ、「虫歯治療を一日で行う」といったことも出来るし、実際に一日で虫歯完了治療を診療メニューとしている医院もあります。

関連記事↓

短期間でセラミックの白い歯が出来る治療:CEREC(セレック)とは
「短期間でできる白い歯(セラミック)治療のCEREC(セレック)についてもっと知りたい」人のために、どのサイトよりも分かりやすく歯医者が解説します。

時間が無くて虫歯治療に望めない、という方はこのような方法を選択するのも良いかもかもしれませんね。

 

Dr.Den
Dr.Den

痛くなる前に検診をして、できるだけ小さいうちに虫歯を治していきたいものですね!