いつになったら「出来る」ようになるんだろう

研修歯科医師の疑問を解説するイメージモデル若手Dr. DH向け

こんにちは!Dr.Denです。

今日は趣向を変えて歯科医師になりたての人、研修医、歯科医師の卵のみなさんに向けてお送りします。

以前から書きたいなあと思っていた内容のひとつがこれ、若手のみなさんが多かれ少なかれ持つ悩み、「いつになったら出来るようになるんだろう」というお話です。

私は腕前の程は自分では判断できませんが、少なくとも治療がストレスにならず、患者さんとのコミュニケーションを楽しんで、ある程度のこだわりを持ちながら治療できる位の腕にはなっていると自負しています。しかし、過去を振り返ったら歯科医師になりたての頃、本当にしんどかった…。

特に今の研修医さんは、臨床実習の時も見学がメインであまり手を動かさなかった上に、臨床施設がマッチングで出身大学以外の大学に行ったり、自分の身一つで同級生のいない開業医さんのところで一年を過ごさないといけなかったりで、孤独になりがちです。そうなると今の自分の実力では同期から取り残されているのではととても不安になります。

私もそこにハマった一人で、研修医の大部分を同級生がいない施設で過ごすこととなり、実務も気持ちも本当に大変な思いをしながら過ごしました…。人生で一番キツかったかも。

そんな中、一番自分の気持ちで負担になっていたのは「早く出来るようになりたい」ということでした。

一般の方も読むかもなので語弊が生じないように少し解説させてもらいますが、この場合の「出来る」というのは、実践の場で足手まといにならないくらいの、「出来る」です。歯科の臨床ってホント時間が厳しい世界です。ゆっくり考えて、迷いながら選択して、、治療をやり遂げる、というのだったら大学出たての先生でも出来てますのでご安心ください。ただ、時間がいくらあっても足りんわー!!っとなっちゃう訳です。治療の最中に悩む事が多いんです。特にこれが研修先が結構忙しいところだったりしたら、ダイレクトに患者さんのアポイントを狂わせる要因になっちゃったりするので、猛烈なプレッシャーだったりするんです。

 

紆余曲折、七転八倒していつの間にかそういう時期は乗り越えれたと思います。まだ記憶の残っているうちに、いろいろ試行錯誤した中から、どんな方法がこうした悩みから早く脱却するために効率的だったのか、後から考えたらこれがよかったんだなあと思った方法を抜粋して、備忘録代わりに書いておきます。

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診療中は、テストを受けているようなものと考える

まず心がけの点から。以下のように意識してから経験値の定着がだいぶ向上しました。

診療し始めの時はなかなか治療そのもののイメージが付かないので、漫然とその場を迎えがちです。治療がはじまってから慌てるという。そうした治療はうまく出来なかったネガティブな気持ち、てんぱった記憶しか残らず後に活かせません。

 

そうならないためにも、今日〇〇(処置内容)の患者さんが来る、とわかっている時には事前に出来るだけ細かくイメージしましょう。

 

例えば、その歯は右側ですか?左側ですか?上?下?前歯、臼歯?それぞれの場所でミラーとチェアのポジションも変わってきますよ。本当にその位置のミラーで見たいところが見えていますか?バキューム大丈夫?歯の場所、種類で歯の難易度もそれぞれ変わってくるはずです。

 

器具もどれを準備するか確認できていますか?タービンやコントラの先につけるバー、どこから、どのバーを使って削りだすかとか、初めにイメージできているかできていないかで時間がだいぶ変わってきます。

術式も初めに決めておきます。これをした後は、これをして、という具合に‥。

その場で見ないと分からない、とかちょっと参考になる本とか手元に置いて調べながらしたらいいんじゃないかな‥とかいう気持ちになりますが、そういうところでどんどん時間が経って焦ってしまいます。

それに、これだけやってても臨床したてのころは自分の想像キャパを超えたことが患者の口腔内で起こりがちです。それを判断、処置するのに時間を費やせるようにするためにもそれ以外の想定できることはできるだけ時間を費やさなくてもいいようにしましょう。この積み重ねが気持ちの余裕になってきます。

なので、処置する患者さんの情報が手に入ったら出来るだけ自分がどういう手順で行うかシミュレートしてください。

患者さんが来てから試す、のでなく患者さんの診療は持ち込み資料なしのテストだ、という気持ちで臨んでください。

診療前、診療後の予習復習が効いてくる

診療中はテストだ、というのであれば、逆に直前までは勉強しまくっても全然大丈夫な訳で、考えられることは細かな点まで考えておいてください。

それでも診療後、あれもこれもという点は出てきます。

それはチャンスです。至らなかった点を挙げて、その場で解決策を考えておけば次の診療に活かせます。

私は若手の頃は毎日今日の問題点・課題を書き、それの解決策を先輩やオーベンなどに聞いて解決して、それも記録する、というノートを作っていました。初めのほうはもりもりに書いていましたが時間が経つと一日当たりに書く内容も減ってきて、代わりにちょっとづつ高度な内容になっていくので自分の成長が目で見えてわかり励みにもなります。

慌てそうなところはシナリオを作っておく

術式以外にも患者さんとのトークは必須の仕事になるので、そういうお話の部分はあらかじめセリフを考えておきましょう。よく使う会話やとっかかりの話など、大体いつも定番のやり取りになってきます。そういう会話はすぐにルーチン化すると思います。初めのうちはどんなことでも考えなくてもできることが増えるとその分他の事に時間や頭を割く余裕になりますので、何も考えなくてもできることを増やしておきましょう。

先輩のトークを盗む

必要最低限患者さんに聞かないといけないこと、伝えなければならないことは歯科の会話では結構決まっています。そういう会話のストックを増やしていると治療に流れが出てきてスムースにしやすくなります。はじめは、近くで会話している先輩の話し方を真似してみるといいと思います。話し方やそのあとの治療の入り方を真似するつもりでみていると自分もどういう風に手順を進めていったらいいのかの参考にもなります。そのうちわかってきたら自分のやりやすいように自然にアレンジされていくと思います。

術式を固める

「レジン充填」や「クラウンのセット」などなど、たくさん術式があると思いますが、どういう方法でするか術式を固めていきましょう。それぞれの先生で少しづつ術式が違うと思うので、その中で、自分はこれだと思う方法を見つけていくつもりでしていってください。毎回毎回すこしづつ違う方法でしたりあやふやなままだと時間もかかりますしテクニカルエラーも増えてきます。

自信を持って出来ることを増やす

例えば、いきなりフルデンチャーのバイトやロングスパンのブリッジがうまくできるようになったりはしません。よく行われる比較的簡単に習熟できる術式から、「これは何も考えなくても手が動く!」というものを増やしていきましょう。それが自信につながります。

もしその環境で合わなかったとしても、環境が変われば合うかもしれないよ!

色々していってもどうしても出来なさを感じる場合もあると思います。場合によっては環境が厳しい場合もあるかもしれません。。

どうしても一般歯科の場合は歯科医師は職場での人間関係が少人数になりますし、とくに教えてもらう立場の若手の時は上司である院長や指導医との関係がそのまま自分の成長に直結してしまいます。べつにその上司が悪い人でなかったりしても、なんとなく性格が合わなかったり(性格が合わないと結構治療方針も話しててぎくしゃくしてしまったりします)職場が猛烈に忙しくて殺気立っていたりすると必要以上にダメージを受けたりなかなか成長できなかったりするかもしれません。

頑張って頑張っても、自分はダメだと思ってしまってなにもかもがうまく回らない時には思い切って職場を変えてしまうのも一つの方法だと思います。私も何件か勤務医をしましたが、やはり人間関係で自分の院内での扱われ方がだいぶ変わったりしましたので、人の評価ってあながち自分のせいだけではないんだなあと思いました。

 

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毎日を意識してこういう日々を送っていたら、ある時期から、あ、繰り返しだな、と思えるようになってきます。そうなったら次は、ここが知りたい、ここをこだわりたいと見えてくる世界が変わってきます。こうなったら歯科の世界ってだいぶ面白くなってくると思いますよ。

 

早くこうなれるように充実した日々が送れることをお祈りいたします!

 

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※このサイトは歯科臨床の一般的な見解を記載しています。

全ての人の口腔内の状態や事柄が当記事の内容と一致する訳ではありませんので、実際に診察を受けた先生の判断に従ってくださいね。

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