
歯周病て歯が抜ける病気なんでしょ?たまに血が出るくらいで特に歯ぐきが痛い訳でもないし自分には無関係な話…。
と、大概の人が思うんです。
それが歯周病の怖い所なんです。
歯周病は多くの人が「自分は違う」と思っているのですが、
実は日本人の成人の方のの8割が罹っている
(厚生省健康政策局歯科保健課,平成5年歯科疾患実態調査,1993より) 国民病なんです。

そして、歯を失っている原因の第一位にもなっているという恐ろしさ。
進行して歯が抜けても治す方法はいくらでもあるしいいや…と思うかもしれませんが、
いくらインプラントなどの歯を補う治療が発達してきたとはいえ、歯周病は歯ぐきの骨が減ってしまう病気なので、
- 歯周病のあるお口はインプラントが打てなくなる
- 入れ歯も作っても合いにくい
など歯を補うことが困難になることが多々あります。
実際治療する立場としても、歯周病が重度になると、来られた時点で「食い止める」という段階をとっくに過ぎてしまって、

もうその歯を抜くしかない・・・
という状態になっていることが多く、お互いにつらい気持ちになります。

歯医者でも手遅れの歯は抜く以外に治すことが難しいです。
その度に、

ああ、もう少し早く来てくれたら…。
と思うんですよね。
そうなんです。実は歯周病は出来るだけ早く歯科医院に来てくれると何とかなるんです。
歯周病が他の病気と異なるところは、
早くに発見し、適切な治療を受けたらその状態がコントロールできるというところです。
正直なところ減った歯ぐきの骨は自然に戻ることはありません(歯ぐきの再生療法といって手術で骨を増やす方法はありますが、出来る部分が限られています。)。
その状態より歯ぐきの骨が減る、といったことは食い止めることが出来ます。

なので、歯科医師としては本当に、「自分は歯周病じゃないとおもうけど、、」と思っているくらいの時期に来てほしいというのが本音です。
そもそも歯周病とは?
そもそも歯周病とはどんな病気?ということですが、
のことです。
この絵は歯と歯ぐきを断面図です。歯は歯ぐき(歯肉)というお肉の部分と、歯槽骨と言われる骨の部分に植え込まれているような感じで体にくっついています。
この歯と歯ぐきの隙間には「歯周ポケット」という空間があります。歯周病菌は空気(酸素)を嫌う性質があるので、この狭い隙間は歯周病菌にとってとても住み着きやすい空間です。

ここは、歯ブラシが届きにくい場所でもあります。
歯ブラシが届かず、汚れが取れないままになっていると、栄養は豊富になるし、空気(酸素)はますます少なくなるし、ますます増殖していきます。
増殖した歯周病菌は歯ぐきを構成する歯ぐき(歯肉)の部分、骨(歯槽骨)の部分にそれぞれ影響し、”炎症”を起こします。
歯槽骨に炎症を起こしたら⇒歯周炎
となる訳です。そして、この二つを合わせたものを、歯周病といいます。
そうでないと思っているあなたもやってみて!歯周病のセルフチェック
では、あなたは歯周病でしょうか?

歯周病か知りたいけど歯科医院に行くのには勇気が、、という人に朗報です!
実は歯科医院に行かなくても自分が今どんな状態か大体把握できるセルフチェックシートがあるんです。
それがこの項目。この9項目にいくつ当てはまっているかを確認すると、今自分の歯ぐきでどのくらい歯周病が進んでいるか分かる仕組みになっているんです。
それが、これです。
①歯ぐきに赤く腫れた部分がある。
②口臭がなんとなく気になる。
③歯ぐきがやせてきたみたい。
④歯と歯の間にものがつまりやすい。
⑤歯をみがいたあと、歯ブラシに血がついたり、すすいだ水 に血が混じることがある。
⑥歯と歯の間の歯ぐきが、鋭角的な三角形ではなく、うっ血 していてブヨブヨしている。
⑦ときどき、歯が浮いたような感じがする。
⑧指でさわってみて、少しグラつく歯がある。
⑨歯ぐきから膿 うみが出たことがある。
「いやいやそんなことないっしょ」と思っているあなたも是非やってみてください。

私も自分でやってみてびっくりしましたから…。
このセルフチェックは、8020推進財団という歯の健康に関して積極的に情報を公開している団体が作成したもので、項目と実際に歯科医院に行ったときの結果とを照らし合わせて作成したものなので、信ぴょう性も高いセルフチェックシートになっています。
セルフチェックの回答と解説
どうでしたか?いくつチェックが付きました?では回答と解説・・・・。
チェックがない場合
→これからもきちんと歯みがきを心がけ、少なくとも1年に1回は歯科健診を受けましょう。
チェックが1〜2個の場合
→歯周病の可能性があります。まず、歯みがきのしかたを見直しましょう。念のため、かかり つけの歯科医院で、歯周病でないかどうか、歯みがきがきちんとできているか、確認しても らったほうがよいでしょう。
チェックが3〜5個以上の場合
初期あるいは中等度歯周炎以上に歯周病が進行しているおそれがあります。早めに歯科医師に相談しましょう。
ではそれぞれの項目について解説していきますね~!
これは、歯周病の進行を表した図です。
右から、(1)健康な状態 (2)軽度歯周病(歯肉炎)(3)中度歯周病(歯周炎) (4)重度歯周病(歯周炎)という状態を示しています。
今回の項目は(1)の健康な項目以外の歯周病でよく見られる項目が記載されています。
進行が進んだ人に見られる項目、初期の人に見られる項目それぞれ整理しましたので、自分がどのくらいの進行具合なのかの目安にしてくださったら幸いです。

しかし、自分がチェックされたところが軽い所ばかりだから‥まだ大丈夫、、という問題でなく、やはり、どこかにチェックされていたらそれは歯周病ですので歯科医院に行くのがおススメです。
歯周病菌がいる人に見られる項目
②口臭がなんとなく気になる。
歯周病菌はたんぱく質を餌にして、揮発性の硫化物、という結構臭う物質を産生するので、お口の中が臭くなります。なんかくさい‥とおもったら歯周病菌の場合が多いです。
(2)の軽度歯周病で見られる項目
⑤歯をみがいたあと、歯ブラシに血がついたり、すすいだ水 に血が混じることがある。
⑥歯と歯の間の歯ぐきが、鋭角的な三角形ではなく、うっ血 していてブヨブヨしている。
①歯ぐきに赤く腫れた部分がある。
どれも、歯周病菌による歯肉炎でよく見られる所見です。歯肉の炎症により、歯ぐきが腫れ、出血を起こします。
「歯ぐきから出血なんてよくおこることじゃん・・」と思ってらっしゃるかたいると思います。
しかし、通常は、歯ぐきに汚れがついておらず歯周病菌が少ない状態であったら実は出血しないんです。
この状態をほおっておけば必ず次の段階に進んでいってしまいます。

歯科医院で原因の除去、そしてブラッシングの指導を受けてください。

この状態はまだ歯ぐきの骨が溶けていないので、健康な状態に戻れます。
(3)の中度歯周病で見られる項目
③歯ぐきがやせてきたみたい。
④歯と歯の間にものがつまりやすい。
⑦ときどき、歯が浮いたような感じがする。
これは、炎症が歯ぐきの骨まですすんで、骨が溶けてきている、いわゆる歯周炎の状態を示しています。この状態では、歯周ポケットのかなり深い部分に歯周病菌が生着してきている可能性が高いです。

この段階の歯周病は何回か通院して、機械や器具で歯周病菌を徹底的を除去する処置を行う事になります。
失ったはぐきの骨は元に戻りませんが残った歯ぐき(歯肉と歯ぐきの骨)は健康になります

歯周病の治療後、適切なお手入れを続けていれば歯を残していくことが出来ます。
(4)の重度歯周病でよく見られる項目
⑧指でさわってみて、少しグラつく歯がある。
⑨歯ぐきから膿が出たことがある
これは、歯周炎が進行した状態です。歯が揺れるほど減っていたり、膿が出るほど炎症が起こっている場合、場合によっては抜かなければいけないケースがあります。

その歯自体の治療ももちろんですが、症状を感じていないその歯以外も歯周病になっている可能性大ですので是非歯科医院に行ってください。
ぜひ歯科医院に行ってみてください!
「きっ・・・厳しいっ・・!!」
初めてこのセルフチェックを受けたとき、歯科医師になる前かなりたての頃だったのですが、こんな第一印象を受けたのを覚えています。絶対あてはまるやろ。どれかに…。と
でも、実際歯科医師になってお口のケアをすると、気づいたんですね。

「健康だ」と思っていた今までの自分の状態が「本当は悪かった」ことに。
「ふつうは歯ブラシしたら出血するもの」と思っていたのですが、丁寧なブラッシングとフロスなどを使った歯の間のケア(←とくにこれが効果ありました)をすると出血が止まるんです。
口の中の汚れも減りました。

歯周病に気が付かない原因として、自覚症状がない→自分の今のお口の中の状況に慣れてしまっていて、もっといい状態があるということを知らない ということがあるんです。
自分のもっといい状態を知るには、やはり、歯科医院に行って、きれいな状態をプロに作ってもらう、そしてきれいな状態の維持の仕方をプロに教えてもらうというのが一番の近道かと思います。
最近の歯科医院はそのような部分に時間もスペースも多く取っているところが多いので、「虫歯でないのに行ってもいいのかな‥」などとは思わずぜひ歯科医院に足を運んでみてくださいね!
★★オーラルケアまめ知識★★

歯ぐきが痛くて歯磨きするのが辛いときは柔らかめの歯ブラシで歯ブラシの先がしならない程度の優しい力で歯ぐきと歯の境目を磨きましょう。
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泡立ってしまって磨けているのかよく分からない・・という方は液体歯磨きをつかってみるのもいいかもしれません。液体歯磨きはペースト状の歯磨きより薬効効果が高い傾向にあります。
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