
あれ?変だぞ、親知らずを抜歯後、唇の感覚がないような‥しびれているような‥?
親知らずの抜歯お疲れさまでした!
抜歯後、多くの場合、はじめは痛み、腫れを感じるものの日数が経つと共に軽減していきます。
しかし、場合によってはそれ以外の症状が出ることがあります。
そのうちの一つが、顎や舌の神経が傷つくことによって、例えば唇のしびれ、麻痺が起こる神経の障害です。
これらの症状の経過についてはあまり知られていないのではないのでしょうか。
今日はこの神経障害の原因と治療、治っていく経過についてお話しますね!
抜歯後のしびれ、感覚がなくなるー神経障害の原因は下歯槽神経、舌神経の麻痺です

親不知の抜歯後まれにですが一定の頻度で神経の障害が出てくることがあります。
親知らずの近くには、下歯槽神経や舌神経という感覚をつかさどる神経があり、それが傷つくことによって”しびれ”や”麻痺”という神経障害が生じるのです。
抜歯後の神経障害で起こる症状(抜歯後のしびれ、感覚の麻痺)

抜歯の際に影響のある神経は感覚をつかさどる神経(感覚神経)で運動をつかさどる神経ではないので、動作には支障は出ません。
抜歯で傷つく神経は、「感覚神経」という種類のもので、言葉の通り知覚などの感覚をつかさどる神経です。
なので、感覚、とくに知覚、しびれる、触れられても分からないなどの症状が起こります。
運動神経ではないので動かせなくなる、といった類の症状は出ません。
下歯槽神経という神経が傷つけられたときは唇、舌神経という神経が傷つけられた時は舌に感覚が分からないといった症状が出ます。
抜歯後の神経障害の原因
なぜ親知らずの抜歯後に神経障害が起こるのでしょうか?それは親知らずと神経の位置関係が関係してきます。

この図は親知らず周辺の下顎の断面図です。
図で茶色で示されているのが神経の入っている管です(下顎管)。
この神経の管は人によっては親知らずととても近い所に走っています。
ですので、親知らずを抜く際に、このあたりの骨を押したり器具と触ったりすることによって神経が傷つくことによって神経障害が生じるのです。
この図は下顎管との位置関係を示しています。ここに書かれていないですが、舌に近い所には舌神経という神経があります。
舌神経が傷ついた時は舌に神経障害が出ます。

親知らずの根の先と舌や顎先の感覚をつかさどる神経の位置が近いので、抜歯の際に麻痺がおこる可能性があるのですね。

はい、そういうことです。
抜歯後の神経障害の検査
これから神経障害になっているかの検査の一例をあげます。
抜歯の翌日、患者さんから唇(もしくは舌)感覚がおかしいと聞いた場合
ピンセットで感覚がおかしい側の唇、舌などを刺激します。そして反対側も同様に刺激し、比較して鈍いながらの触覚があるかどうかで判断します。
抜いた側の唇(もしくは舌)に感覚がある場合は、処置した部分が腫れたことによって起こる一過性の知覚異常であることが多いです。
その場合は1週間で感覚が戻ることが大半です。
全く戻らない場合は、神経損傷の可能性がありますのでしかるべき治療が必要です。
抜歯後の神経障害の治療
抜歯後の神経障害の治療は、治癒を促す薬剤、処置を行います。
薬剤としては活性型ビタミンB12製剤であるメチコバールを処方します。
また、「星状神経節ブロック」という処置を行う事もあります。
この処置は、首の部分にある交感神経の集まった「星城神経節」と言われる部分に麻酔やレーザーを行うという処置です。

この処置によって過緊張を和らげて神経への血流促進を促し、神経の治りを良くするという効果が得られます。
どちらの処置も口腔外科や麻酔科などの専門科のある病院で行われる処置です。

ですので抜歯した病院が一般歯科の開業医さんのところだったのであれば、そこから紹介してもらって処置を受けることになります。
これらの処置は自分のもつ治す力を促進してあげる処置ですので、劇的に効果がある訳ではありません。

しかし、治療の開始は早いほどいい効果があるという報告がありますので、早めに治療が開始されるのが望ましいです。
ちなみに市販でも色々とビタミン剤が販売されています。
活性型ビタミンB12製剤で、医療用医薬品であるメチコバールと同量(1500μg)配合されているも市販品もあります。
第3類医薬品のナボリン(会社もメチコバールと同じエーザイからの販売)です。
でもあくまで診断して処方されているお薬ではないので、かかりつけ医の受診、処置を第一優先で‥。
抜歯後の神経障害の治る経過
抜歯後の神経障害は、一過性のものであるのなら1週間ほどで軽快してきます。
一過性でなければ、数か月単位で徐々に良くなってきますが、個人差が大きいです。
抜歯後の神経障害で気を付けること
抜歯後の神経障害は早めの対応が大事になりますので、抜歯の次の日の消毒にはきちんと受診しにはしっかり今の状態を伝えて、迅速にしかるべき処置を受けましょう。
いかがでしたか?抜歯後の神経障害は早め早めの処置が大事になってきます。

先延ばしにせず早めに対応ができることをお祈りしています!



