この間子供を1歳6か月検診に連れて行ったら、虫歯の原因になるから授乳はやめなさいって言われたの。欲しがらなくなるまで飲ませてあげようと思っていたのにダメだなんて‥
子供への授乳、特に母乳による夜間の授乳は虫歯の原因になるからやめなさい、
という歯科関係者は多いです。
しかし、小児科に行ったら「WHOは母乳育児は2歳以上になるまでの授乳を薦めています。」
と言われるし。。。
ではどうしたらいいの?
と思われている方は多いかと思います。
本当のところ、母乳はう蝕の原因になるのでしょうか?
現在の最新情報について解説していきたいと思います。
卒乳時期が遅いと虫歯(う蝕)になりやすいの?
1歳6か月検診で卒乳していないと怒られる‥。
なぜこのようなことが起こっているのかというと、
今までの子供の虫歯の研究で、
2歳の時点で卒乳している子供と卒乳していない子供の間で虫歯の発生に差があった(小児歯誌, 39(4); 884-889, 2001.)、
など、ちょうど検診頃の子供でまだ授乳しているとう蝕のリスクが高い、という結果がいくつか報告されてきたから、ということを根拠にしているということからきています。
日本内外を問わずこのような報告は多く、それに基づいて指導がされてきました。
しかし、これらの報告は、それぞれの子供たちの授乳以外の食を含めた生活習慣、や体質など、結果に影響してきそうな背景を考慮されず、母乳以外の虫歯になる原因も一緒くたにして調査して出てきた報告でした。
近年米国で「母乳と早期う蝕の関連性が低い」という報告がされ、母乳育児の方針も変更されました。
今までの調査はそんな風に母乳以外の原因もコミで出されていた結果だったため、
米国歯科医師学会は今までの文献を吟味して純粋に母乳と早期う蝕に関連性があるか、という事を検証しました。
すると、どの論文も一貫した結果が出ていないことや、やはり生活習慣は口腔衛生の習慣など、う蝕に関連する要素が考慮されていない報告が多いので、これまでの報告では母乳と早期う蝕の関連性が低い、と結論付けました。(J Am Dent Assoc 2013; 144: 143-151)
要するに、母乳でう蝕になる、と言われてた過去の結果が、どうもそうでは無いということが最近わかってきたんですね。
これを受けてそれまでは米国歯科医師会は、”乳歯が萌出したら母乳を避ける”方針でしたが、
「母乳を与えた後に保護者は児の歯肉および歯を布や柔らかい歯ブラシでやさしくクリーニングする」(米国小児歯科学会の勧告)
「生後6カ月までは完全母乳育児を行い,離乳食開始後および生後12カ月以降も母子が望む限り母乳を継続してもよい」(米国小児科学会(AAP)の勧告)
方針を転換して生後12ヶ月以降も母乳継続OKとなったようです。
日本でもアメリカのように方針が変わっていく流れになるのではと思います。
母乳そのものは虫歯の原因にはなりませんが発生した虫歯が重症化する原因になることも。
母乳そのものは虫歯の原因にはなりません。
しかし、母乳=虫歯の原因ではありませんが、発生した虫歯を重症化させることはあります。
虫歯にならないようにするために必要な対策は?
虫歯は、虫歯菌、体質、スクロース(砂糖)という3つの条件がそろったときに起こります。歯科ではKeyesの3つの輪、と言われています。
長期授乳、という習慣がお口の中の環境に間接的に関係してしまうこともあります
例えば、授乳の欲しいときにあげる、の習慣から、欲しいときにおやつを与えてしまったりという悪い習慣がついてしまい、お口の中の環境が悪くなってしまう事があります。
長期授乳でも、両親と一緒に寝るのを控えたり、フッ素の使用を行ったりしたら虫歯のリスクは下がると言われていますので、お口のケアをしっかりと行う事が重要です。
いかがでしたか?色々と周囲の声に悩まされる母乳育児、本当にお疲れ様です。正しく知って楽しく母乳ライフをお過ごしくださいね~!
★オーラルケア まめ知識★
赤ちゃんのお口はデリケート
初めての歯ブラシに慣れて嫌がる原因が「ブラシの毛先が痛い」という時があります。
そのような場合は、毛先がゴムでできているものなど刺激の少ない柔らかい歯ブラシからはじめて、お口の中に食べ物以外のものを入れるトレーニングからはじめるのが良いでしょう。
コメント