
親知らずって抜く時いたいのかなぁ…?抜く前の麻酔もどんなのだろ?痛かったら嫌だなあ…。
抜歯で1番気になるものの一つが「痛み」ですよね。
「抜歯中に感じる痛みを無くす処置である麻酔も針で刺されるし嫌だなぁ・・。」
と思っておられる方、多いのではないでしょうか?
実は、最近の歯科医院では、針の「チクッ」という痛みもしないように色々と工夫がされているんです。
今日はそんな、ちょっぴり怖いけど抜歯の痛みを取り除いてくれる、なくてはならない麻酔について解説していきますね!
親知らずをはじめとした抜歯ではどんな麻酔をするの?
抜歯を行う時、抜く時の痛みを取り去るため、「浸潤麻酔」や「伝達麻酔」と言われる、抜歯する部位の近くに注射で送り込み作用させる麻酔を行います。
最近では、この注射を使う「麻酔」をする前に、さらに塗り薬で麻酔(表面麻酔)をすることが多いです。
何故なら、注射の針で刺す痛みを和らげるためです。

針の「チクッ」っていう感覚もなく麻酔が出来るんですね!あれが嫌だったんです!

最近の歯科医院は、それだけ、「痛み」に対しての細心の注意を払っているところが多いんですよ♪
歯科で用いる麻酔の種類
この注射の麻酔(浸潤麻酔)と塗り薬の麻酔(表面麻酔)は、どちらも「局所麻酔」と言われる種類の麻酔です。
薬物によって知覚をつかさどる神経に作用し無痛状態を作る作用の麻酔で、麻酔をされている間でも通常と同じように意識があります。
まれに、一度に複数本抜いたりするときには全身麻酔という、口にマスクを当てて吸入することによって作用する麻酔を使用することもあります。
この場合は意識がありません。
(全身麻酔の話はそれだけで何本も記事になるくらい説明の分量がいるので今回は割愛します。)
今回は、表面麻酔、浸潤麻酔について詳しく解説しますね。
表面麻酔とは
表面麻酔の特徴
表面麻酔は、皮膚、お口で言えば口腔粘膜の表面に塗り、表面から麻酔効果のある薬物が吸収されることにより、その薬物の作用で〝痛い”と感じるシグナルが伝わらなくなる(専門的に言えば、知覚神経の興奮伝達が遮断されるという意味)仕組で痛みを遮断します。
どれも、乾燥させ、簡易防湿した粘膜に適量を塗布するといった使用方法です。(商品によって若干異なります)
麻酔の薬液は苦いので、それぞれ特色のある香味を付けています。
それでも若干ピリピリとした刺激や苦みは否めませんが‥。
時間が経過すると表面麻酔を置かれた部位の知覚が無くなるので針の痛みはなくなります。
表面麻酔薬の種類
歯科で使用する表面麻酔は、例えば下の写真のようなゲル状で、麻酔の成分としては、アミノ安息香酸エチル液が20%入ったものがあります。
バナナ味のものが多く小児でも使用しやすいようになっています。
この2つ以外でも、アミノ安息香酸エチル・パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル塩酸塩が成分でラズベリー味のネオザロカインパスタ
アミノ安息香酸エチルに加えて、さらに麻酔効力と持続性に優れたテトラカイン塩酸塩、ジブカイン塩酸塩が配合されたプロネスパスタアロマ(味が4種類あります)
テトラカイン塩酸塩が成分で、パッチにしみこませた薬剤を貼付して効かせる方法のコーパロン歯科用表面麻酔液6%などがあります。
浸潤麻酔とは
浸潤麻酔とは、局所麻酔と言って部分的に効かせる麻酔の一種で、注射で行います。
薬液を入れた注射を効かせたい部分に注射することによって作用させます。
歯の周囲の「傍骨膜」というところに作用させるように打ちます。
歯ぐきと頬の境目から、図の①の部分を目指して針を刺します。
歯根膜麻酔
抜歯ではあまり使用しませんがもっと効かせたい時は歯根膜、という歯と歯ぐきの間にある歯と歯ぐきを接着させる膜の部分に麻酔を打つ場合もあります。
この麻酔は数滴でも入ると効果があるので神経の治療をする時によく使用されます。
歯と歯ぐきの境目の部分から図の②の部分をねらって針を刺します。
伝達麻酔とは
親知らずの骨が硬くなかなか麻酔が効きづらいとき、しっかり長時間麻酔を効かせたい時には「伝達麻酔」という麻酔を行います。
これは、歯の知覚の神経の束になっている部分の近くに麻酔をすることによって片側の顎全体にしっかりと麻酔を効かせます。
それぞれの歯や顎の近くをつかさどる神経(下歯槽神経)は途中までは骨の中を通っていますが、親知らずのもう少し奥の頬側のあたりから、骨の外に出ています(下顎孔)その部分の近くに麻酔をします。
口の中で言うと、このあたりになります。(効かせたい側のみ)
親知らずの奥、どちらかというと上あごと下あごの間くらい、比較的柔らかい部分です。
長時間、広範囲で効果が得られる良い麻酔なのですが、神経や血管に近い部分に針を刺すので、神経を傷つけたり、薬液が血管に入ってしまう可能性があるというリスクがあります。
ある程度習熟した腕が必要になります。
麻酔薬の種類
局所麻酔薬には大きく分けてエステル型とアミド型という麻酔薬があるのですが、歯科ではアミド型の麻酔薬が多く使用されます。
よく使われている麻酔薬のそれぞれの特徴は以下の通りです。
リドカイン
一番よくつかわれている麻酔薬です、組織への浸透性がよく、作用発現が非常に速やかです。
麻酔の効力も下に記載しているプロカインの1.5倍から2倍と非常に強力です。持続時間も1.5時間程度と扱いやすいです。
軽度の血管拡張作用を持っておりそのままではすぐ拡散してしまうので、血管収縮薬が同時に配合されています。
キシロカイン、オーラ注などが商品名です。
プリロカイン
麻酔の効力はリドカインと同じかわずかに低いですが、代謝が早いために、持続時間がやや早いです。
しかし逆に言うと体に蓄積しないので、アミド型の局所麻酔剤の中では毒性が一番低いです。
心臓病や高血圧の疾患を持っていて、リドカインに同時に配合されている血管収縮薬の作用があったら容体が悪くなる患者に使用されるといったケースが多いです。
シタネストオクタプレシンが商品名です。
メピバカイン
麻酔の効力や浸透性、発現時間はリドカインとほぼ等しい薬剤です。
商品としてはスキャンドネストとして、メピバカインのみ含有されているものが販売されています。
血管収縮剤が配合されていないので、正味30分ほどの作用時間です。
短時間の処置で麻酔が必要な人や血管収縮剤が配合されていない方がよい人、保存料等にアレルギーのある人に使用します。
最近の歯科医院では「針のチクッ」とした痛みも感じさせません。
先にも記載しましたように、最近は歯科医院でも出来るだけ患者さんへのストレスを軽減するように、麻酔の針の痛みに関しても細心の対応がなされているところが多いです。

また、表面麻酔以外にも以下のような工夫をして、極力痛みを感じず麻酔できるようにしています。
痛みを感じさせない工夫① 表面麻酔
先にも書きましたように、表面麻酔を行い、針のチクっとした刺激も感じないようにしています。
痛みを感じさせない工夫②針が細い
針が太いと、それだけ歯ぐきを傷つけてしまう事になるので、極力細い針を使用している医院が多いです。
このページのアイキャッチ画像でもまだ針は太いくらいで、通常は27G(0.40mm)、細い所では33G(0.26mm)の細い注射針を使っています。
注射針が細いと、麻酔の最中の痛みも軽減されますが、麻酔後の針跡の痛みも少なくて済みます。
痛みを感じさせない工夫③ 機械による麻酔
麻酔は入るときに一定の速度だと痛みが軽減されます。
それがいつでもできるように機械式の麻酔を用いている歯科医院が増えています。
(電動の歯科麻酔器の一例)
痛みを感じさせない工夫④ 麻酔液の温度
麻酔は体温に近いほうが痛みを感じにくいです。
ですので麻酔液を体温に保ち使用している歯科医院もあります。
(カートリッジウォーマー 一例)
麻酔はどれくらい効いてるの?
麻酔の本数や最後に打った時間によって変わってきます。
おおよそ2~3時間で麻酔の成分が代謝されて、麻酔が切れてきます。

麻酔が切れていないときの飲食はやけどや咬傷の原因になりますので控えてくださいね。
いかがでしたか?ちょっと不安な麻酔について、すこしでも知ることが出来るお手伝いができたら幸いです!
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