歯槽膿漏と歯周病って同じ病気?違いはあるの?

歯周病と歯槽膿漏の違いに悩む男性歯周病

昔は歯ぐきの病気のことを「歯槽膿漏」って言っていたけど、今はあまり言わないなあ。代わりに「歯周病」という言葉をよく聞くけど、同じなのかな?違いはあるの?

現在、歯ぐきの骨が溶ける病気のことを示すときに「歯周病」という言葉が使われていますが、50代以降、ひょっとして40代以降の方々もそうでしょうか、かつては「歯槽膿漏」という言葉をよく耳にしたのではないでしょうか?

いつの間にか使われなくなった「歯槽膿漏」という言葉、歯周病と同じなのか違うのかズバッとお答えします。

 

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結論:「歯槽膿漏」は「歯ぐきから膿が出ている」という症状を表している。症状の重い「歯周病」の状態の一つ

すばり、「歯槽膿漏」は現在は病気の名前(疾患名)としては使用されていません。

歯槽膿漏は、”歯周病”という病気がもたらす症状の一つである、歯ぐきから膿がでているという状態を示す意味を表しています。

もともとは歯周病は歯ぐきが膿んで歯の抜ける病気、という認識だったので、歯槽膿漏の言葉の意味が示す状態=疾患名で事足りていました。
しかし、この病気の研究が進むにつれ、歯ぐきから膿の出る状態より初期の状態、例えば歯ぐきが炎症を起こして出血したり腫れたりするという状態もこの病気の一連の症状だ、という事が分かってきました。
そうなると、歯槽膿漏、という言葉だけではこの病気を表現するには範囲は狭すぎる、ということになりそれに代わる言葉、「歯周病」という病気の名前が出来た、とのことです。

いつ頃「歯槽膿漏」が「歯周病」に変わったの?

「歯周病」という病気そのものは4000年前のエジプトのミイラでも見つかったくらい、古来からある病気なのですが、長い間、「これだ」と定義づけられてはいませんでした。

そのような中、1823年にフランスのトアラックが「歯槽膿漏症」という疾患名を提唱し、その後アメリカ歯科医師会の学会でも病名に用いることになり、その後1950年代まで使われてきました。

そして、「歯槽膿漏症」の研究が進むにつれて、歯槽膿漏が起こる前段階である歯ぐきの腫れや出血、またそこに潜む細菌をいかに除去するかが治療のポイントになるという事が明らかになってくることが分かってきました。

日本では、1950年代まで、一専門分野としての研究はされておらず、1957年に東京医科歯科大学で専門講座が出来たのが始まりだとされています。
当時は歯槽膿漏症、という疾患名でスタートしましたが、欧米の進んだ研究を取り入れていくことにより、歯槽膿漏症、という言葉ではこの病気全体の事を表現できていないため、「歯周病」という名称が代わりに使われるようになったのです。

学会としては、昭和33年に「日本歯槽膿漏学会」という名称でスタートし、その後

昭和33年(1958年)より昭和42年(1967年)までは「日本歯槽膿漏学会」という名称で行われるが、翌年の昭和 43年より「日本歯周病学会」と改名、平成15年には法人格を取得し「特定非営利活動法人 日本歯周病学会」となる。昭和51年より春季および秋季の2回の開催となり現在に至る。

(日本歯周病学会 ホームページより)

と、昭和43年に歯周病学会に名称が変更になっています。

保険診療に「歯周病」という言葉が出てきたのはさらにそれより後、昭和60年にやっと出てくることとなります。

「歯槽膿漏」の方はすぐ受診を!出来るだけ早く治療を開始することが重要になってきます。

「歯槽膿漏」から「歯周病」の名前の変遷からもわかるように、「歯槽膿漏」は「歯周病」の一部、それもかなり進行した状態であるということが分かります。

現在使用されている「歯周病」は「歯ぐきに炎症がある状態」を示しており、その炎症が歯肉にとどまっている場合は「歯肉炎」、そして炎症が歯ぐきの骨(歯槽骨)にまで及び、歯を溶かしている状態を「歯周炎」と言います。

「歯肉炎」「歯周炎」どちらの炎症にも関連しているのが、いわゆる「歯周病菌」です。

歯槽膿漏、という状態になるには、「歯周炎」の段階で、かなり菌が悪さをしている時に起こっていることが多いです。そして、この段階になると歯周病菌が溶かした骨の量も多く、場合によっては歯を支えられないほど溶かしていることも少なくありません。

そして、残念なことに一度溶けてしまった歯ぐきの骨は普通の治療では元に戻ることはありません。骨の再生療法などもありますが、治せる骨の溶け方に条件があってすべての溶けた歯ぐきの骨を治せます、とはとてもではありませんが言えない状況です。

これ以上歯ぐきの骨を減らさないようにするためにもぜひ歯科医院を受診してください。今の骨を増やす事はできませんが、これ以上減らさないようにすることは歯科医院で適切な治療を受けることによって十分可能なことが多いです。

自分は違う、と思っている方は「歯槽膿漏」の状態より前に歯科医院への受診を!

 

「歯槽膿漏」=「歯周病」で、まだ自分は歯から膿が出ていないから大丈夫でしょ‥。と思っている方がいらっしゃったら、どうか、その考えは改め直してください。

確かに「歯槽膿漏」は「歯周病」の状態の一つなのですが、かなり進行した状態を表しています。この状態になっていたら、歯を残す事が難しくなっている場合も少なくありません。

歯周病は「サイレントキラー」とも言われています。痛くもかゆくもないのに知らないうちに進行している、という事が多いのです。

痛くもかゆくもなくても、例えば毎日の歯磨きの出血、など歯周病のサインが出ていることがしばしばあります。

以前記事にした歯周病のチェック項目などもせひ参照していただいて、違うと思っても当てはまった方はぜひ一度歯科医院を受診してみてください

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いかがでしたか?歯槽膿漏の言葉の疑問は解決したでしょうか?お役に立てたらうれしいです!

★★オーラルケアまめ知識★★

歯ぐきが痛くて歯磨きするのが辛いときは柔らかめの歯ブラシで歯ブラシの先がしならない程度の優しい力で歯ぐきと歯の境目を磨きましょう。

 

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