歯科医師が教えるポリグリップなどの入れ歯安定剤の本当の使い方

入れ歯安定剤 義歯・入れ歯

「入れ歯を安定させる入れ歯安定剤、よくコマーシャルでもやっているけど、歯医者さんから勧められたものではないし、本当の使い方ってどうなんだろう。」

ポリデントをはじめとした入れ歯の安定剤、よくコマーシャルでも見かけますよね。入れ歯がの間に細かい粒が入った痛みなどから救ってくれる救世主のようにも聞こえます。

しかし、実際入れ歯(義歯)安定剤の使い方って入れ歯を作った歯科医院で聞くことあまりないですよね。本当の使い方ってどういうものなのか、今回は義歯安定剤について触れていきたいと思います。

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ポリグリップをはじめとした義歯安定剤とはどのようなものなの?

ポリグリップをはじめとした義歯安定剤はその安定剤の持つ粘着力を使ってお口の粘膜と義歯を安定させる薬剤です。

成分は水溶性の高分子で、例えば新ポリグリップ無添加でしたら

ナトリウム/カルシウム・メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体塩、カルポキシメチルセルロース、軽質流動パラフィン、白色ワセリン

といったものが入っています。

これらの分子が水に触れて、入れ歯と口腔粘膜の間にぴったりと壁を作ることにより、もともとあった入れ歯と口腔粘膜の隙間を埋め、間に食物などが入らないようにします。

 

ポリグリップなどの義歯安定剤を使う時はどんな時?

義歯安定剤を使う目的は、大きくは、食べる 話す 装着感になれるなど、日常生活シーンで入れ歯のために不自由を感じていることを解消することです。

例えば食べるときに、いつもだったら入れ歯のために「食べたら間にものが挟まって辛いかも…」と 思う事が義歯安定剤を使う事により考えなくてもよくなります。

また、話すときに普段の入れ歯に「離すときに外れてしまうかも‥」という不安を持っていたとすれば、それも解消できます。

入れ歯のつけ始めも、まだ慣れていなくてどこかで外れてみんなに分かってしまったら、と恐れずに過ごせます。

ポリグリップをはじめとする義歯安定剤を使いたいな‥と思う時

目的や使用シーンは上記のような感じで、大体のイメージが出来たかとは思うのですが、では実際に、こういう症状があるから使いたい!使っていいのかな、と迷うようなケースを挙げてみました。

①入れ歯が痛い時

痛い時①入れ歯を作ってすぐ痛い

新しく入れ歯を作って使用すると、多くの場合は痛みが生じます。なぜなら、入れ歯のかみ合わせや床の部分はできた直後はお口に合っておらず、微調整が必要だからです。このような時、義歯安定剤を使いたくなるとは思いますが、少し待ってください。義歯安定剤を使うと調整して解決すべき場所を見逃す可能性があります。また、義歯安定剤の取り残しがあると床の凸凹が変わってしまい、これもどこが痛みの原因かはっきりしなくなる可能性があります。

なので、調整期間中は出来れば使用しない、もしくは慎重に使用していただくほうが良いかと思います。

入れ歯がないと食べるのに困る、人と会うのに困る場合は、入れ歯を作った歯科医院の先生に聞いて、どのタイミングで使うべきか、どのくらいの長さ使用していいか聞いてから使用したほうがベターです。

痛い時②入れ歯の間に細かい粒が入って痛い

イチゴの種など、入れ歯と入れ歯の間に細かい粒が入るととても痛いです。このような痛くなるような食べ物を食べるときは義歯安定剤を使用すると快適に食べれるかと思います。

痛い時③入れ歯がぐらぐらして痛い

入れ歯の安定感が悪くなり、痛くなることがあります。このような時は義歯安定剤を使用することにより痛みを軽減することが出来ます。しかし、入れ歯のぐらぐらは入れ歯自身に何らかの問題があることが多いので、歯科医院を受診し、問題を解決する必要があります。

ですので義歯安定剤は入れ歯の問題が解決するまでのつなぎとして使用するといった方法が良いでしょう。

後でも記しますが、義歯安定剤は長期連用するものではありません。特に、ぐらぐらした入れ歯にずっと使っていると歯ぐきに不安定な揺れがずっと伝わり歯ぐきの骨が減って入れ歯の合いにくいお口になってしまう可能性があります。

②入れ歯のつけ始め

入れ歯のつけ始めは、どれくらい入れ歯は外れやすいのではないか、入れ歯が人にわかってしまうのではないかという不安もありますので、入れ歯に慣れるまでは義歯安定剤を使用するのも一つの方法かと思います。

③入れ歯が外れる時

入れ歯が外れるのを防止するために義歯安定剤を付けるという場合も考えられます。しかし、これも、入れ歯がぐらぐらして痛いときのケースと同様、何らかの問題がある場合があるので、これを解決するまでのつなぎとして使用する位置づけだと思っていてください。

義歯安定剤とのお付き合いの仕方

では、義歯安定剤はどのように使うのでしょうか?以下に説明していきます。

始めは少量から

入れ歯安定剤を適量使用するため、次の手順に従ってください。

まずは少量から

  • まずは少量から試してください。
  • あまり端の方につけないように注意してください。
  • まずは、数日間、慣れるまでこの安定剤の量でお過ごしください。

(ポリグリップホームページより)

入れ歯安定剤をはじめからたっぷりと付けるのは避けてください。お口の中にはみ出してしまいます。

適量使用することが大事

「適量」使用するように、と添付文書には書いているのですが、この適量は、決まっているわけではなく、粘膜と入れ歯の隙間は人によって違うので、使用経験により適量をお決めくださいとのことでした。難しいですね。一応目安は入れ歯と粘膜の間がぴったり埋まり、ふちからはみ出ない量という事です。

使用後はきちんと落とす ポリグリップの取り方はこうです

これは大事です。歯科医院で義歯安定剤を使用している患者さんの義歯を見ると、ところどころに古い義歯安定剤がこびりついているのをよく見かけます。そのために床の形が凸凹してしまいますます入れ歯が合いづらくなってしまっています。

こうならないようにするためにも、使用後はきちんと落としてください。

取り方は、ぬるま湯に漬けて溶かして、ティッシュでふき取る、そして流水下でブラシで洗う方法です。

なかなか頑固にくっついていますが、ぜひ毎回しっかり落としてください。

付けたまま就寝しない

身体には安全な成分で出来てはいますが、就寝時などの長時間お口の中に入れる処方設計にはなっていません。また、寝ている間に義歯安定剤がのどに垂れ込んでしまう可能性もあり、とても危険です。

義歯安定剤を入れ歯に付けたまま乾かさない

義歯安定剤は吸水性の高分子でで出来ていますので、乾燥してしまうと物性が変化し、とても取りにくくなってしまいます。

一度塗ったまま数日使用しない

塗った後の連日使用は避けてください。細菌が繁殖し、不衛生になります。

気を付けて!正しく使用しないと歯ぐきの骨が減ることになります。

合わない入れ歯を無理にくっつけるために使用するものではありません

ここまでで、何度も言っていますが、義歯安定剤は合わない入れ歯に使用し、ずっと使う物ではありません。

入れ歯安定剤は、新しい入れ歯に慣れるのを助け、入れ歯が飛び出すのではないかという心配を和らげるため、装着当初から自信を与えてくれます。ただし安定剤は、ぴったり合った入れ歯の代わりになるものではないので注意が必要です。時間の経過とともに、入れ歯がゆるくなり、修理や作り直しが必要となることがあります。以前のように入れ歯が合っていないと感じるようになったら、かかりつけの歯科医に相談しましょう。

(ポリグリップホームページより)

このように、以前と異なり、緩んできた入れ歯はそのまま使用すると今より歯ぐきの骨が痩せてしまう可能性もありますので、歯科医院にぜひご相談ください。

長期連用はしないでください と添付文書にも書いてあります。

長期連用による弊害は、実はきちんと義歯安定剤の添付文書にも書いてあります。

 

新ポリグリップ トータルプロテクション添付文書

 

使用上の注意の部分なのですが、

(1)長期連用しないで下さい。連用する場合には歯科医師に相談して下さい。(歯ぐきがやせる、噛みあわせが悪くなることがあります。)
(2)次の場合は、直ちに使用を中止し、医師、歯科医師又は薬剤師に相談して下さい。
1.本品の使用中又は使用後に発疹・発赤、かゆみ、はれ等の症状が現れた場合。
2.継続的な下痢や便秘の症状又は増強が見られた場合。
(3)歯ぐきがやせる等により不適合になった入れ歯を本品で安定させるのは一時的な場合とし、できるだけ早く歯科医師に入れ歯の調整を相談してください。

(新ポリグリップ無添加 添付文書)

というように、長期連用によって歯ぐきが痩せる、かみ合わせが悪くなる可能性について明文化されています。これはポリグリップに限らず、義歯安定剤の添付文書にはすべて書いています。

義歯安定剤は一時的な使用を考えられて作っているものです。歯茎の骨の形が変わったり、人工の歯の部分がすり減ってかみ合わせが合わないようになった入れ歯を無理くりくっつけて使用する方法で使うと、入れ歯に不均一な力が加わり、歯茎の骨が減ってしまう原因になります。

そして、歯茎の骨は減れば減るほど入れ歯を作るのが難しくなりますし、出来上がった後のトラブルが発生する可能性も増えます。

ですので、合わないな、と思ったときは早めの受診をお勧めします。

再び繰り返しますが、合っていない入れ歯を合わすためのものではありません。一日2回付けなければいけないようなら歯科医師に相談を

これも添付文書に書いている内容なのですが、

1.使用方法
(1)入れ歯をよく洗い水分を完全にとり、製品を端の方につけないようにして、1日1回塗布してください。使用量の目安は総量約0.5-3.0cmです。
※次の方は入れ歯が合っていない可能性があるため歯科医師に相談して下さい。
・使用方法使用回数が1日2回以上の方
・1回総使用量が3.0cmを超える方

 (新ポリグリップ無添加 添付文書)

もしあなたが使用回数が一日2回を超えている、総使用量がお使いの義歯安定剤で定められた量よりも多い量を使っているようでしたら、かかりつけの歯科医院の先生にご相談ください。

いかがでしたか?義歯安定剤について疑問が少しでも解消できれば幸いです!

 

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