「歯医者で検査する時や学校の健診で、C1、C2とか記号が読み上げられているけど、あれってどんな意味なんだろう…。」
と不思議に思っている方、多いのではないのでしょうか?今回は、よく聞くけど分からない、歯科でよく使用されている「C0,C1,C2,C3,C4」の意味について解説します。
まずは、歯の全体像です。
これは歯の断面図です。歯はいくつかの構造に分かれています。
最も表面の白い部分は「エナメル質」と言われています。エナメル質は身体の中で一番硬い部分で、カルシウムなどのミネラルの結晶構造になっています。
その下のクリーム色の部分は「象牙質」と言われています。歯茎の下にある歯の根っこの部分も、この「象牙質」と言われる構造で出来ています。そして、
歯の中のピンクの部分は「歯髄」と言われる部分です。歯の中は実は歯髄が入るスペース分だけ空洞になっていて、その中に歯髄と言われる歯の神経がおさまっています。
歯の神経は生きているので、神経に栄養を運ぶために、一緒に血管も入っています。
Cの意味は?…虫歯(caries)を示しています。
この記号の頭についている「C」は何を意味しているのでしょうか?おそらく皆さんも想像していることと思いますが、”虫歯”を英語で読んだときの”dental caries”(正式にはカリエスの前にデンタルが付きます。)のcariesの単語の頭文字を取ったものです。
Cの後の数字は?…虫歯の進行度を示しています。
虫歯というのは、歯に細菌がくっついて、歯を溶かしてしまう疾患なのですが、
「この虫歯が、歯のどこの構造にまで及んでいるのか」という虫歯の進行度を表すのにこの記号が使われているのです。
実は、虫歯の治療というのは、歯のどの迄虫歯が及んでいるのかによって治療の方法が変わってきます。
このように、虫歯を検査する時にどのくらいの進行度かも一緒にチェックしておいたら、虫歯を見つけた後にどのような治療をすればいいかの目安になって治療する側もわかりやすいという訳です。
では、さっそく次から虫歯の記号別に解説していきましょう!
C0
COはどのような状態?
COの”O”は実はゼロではなくて、英語の「オー」です。”Questionable Caries for Observation”と言われ、日本語では「要観察歯」としています。
イラストにもあるように健全な歯と変わっているところはありません。虫歯とは、虫歯菌が歯を溶かすので、歯の表面が柔らかくなっています。歯科の器具である先のとがった器具(探針と言われます。)で少しねばっと柔らかい感じを触知した時に虫歯とみなします。
COの歯には、このようなねばっとした感じはなく、まだ虫歯菌が本格的に歯を溶かしてはいません。しかし、これから虫歯になっていく兆候である、歯の表面のエナメル質が白く斑点になっていたり(白濁化)茶色い点(褐色斑)が認められる場合にこのようにカウントし、注意深く経過を見ていく部分としてチェックします。
C0にはどのような治療を行うの?
COには治療は行いませんが、フッ素を塗布して歯の表面を強化したり、これ以上進行しないように、お家でも歯の汚れ(プラーク)をしっかりとれるブラッシングの指導をしたりします。
C1
C1はどのような状態?
このイラストにあるように、歯の表面のエナメル質が虫歯になった状態です。
このくらいの大きさの虫歯だったら無症状の時も多いです。たまに、甘いものや冷たいものがしみたり、噛んだときに痛いなどの症状があります。
C1にはどのような治療を行うの?
この状態だとまだ歯が虫歯で侵されている部分が少ない場合が多いので、虫歯の部分を取り除き、「レジン充填」と言われる「レジン」という光で硬化する、歯の素材と似たプラスチックを詰めるという治療を行います。
多くの場合は一回で終了します。麻酔は痛い場合は行いますが行わなくても済む場合もあります。
C2
C2はどのような状態?
C2とは、このイラストにあるように、エナメル質の下の象牙質まで虫歯が及んでいる状態の虫歯のことを言います。まだ、歯髄にまでは進行していません。
痛みは個人差やバリエーションがあります。あまり感じない人もいれば、甘いもの、冷たいもので痛みを感じる人がいます。神経にも影響がある場合は、熱いものでもしみてきたりします。
虫歯も穴になっていることが多いので、物が詰まって痛くなったり、二次的なものですが、物が詰まって歯茎が腫れて、歯茎も痛いこともあります。
C2にはどのような治療を行うの?
まずは虫歯を取り切ります。この場合、だいぶ虫歯が大きくなってきているので、虫歯を取り切った後の穴が小さくかみ合わせの力に耐え切れそうな場合は「レジン充填」。虫歯の穴が大きく失ったスペースをしっかり補わないといけない場合は「インレー修復」という治療を行います。
「インレー修復」とは、図のように歯が虫歯で失った部分を金属の詰め物で補う治療です。詰め物は鋳造する必要があるので、専門の施設(技工所や技工室)で作成する必要があります。
補う部分の歯の型取りをして、その型に合わせて詰め物を作成する、という工程が必要になるので、型取りに一回、出来上がったものをはめるのに一回、と治療に2回かかります。
この治療をする場合、歯を神経の近くまで削る場合が多いので、虫歯を取り除くなど歯を削る治療を行う日には麻酔を行います。
C3
C3はどのような状態?
C3とは、このイラストのように、虫歯が歯髄まで及んでしまった状態です。
虫歯が歯髄に感染するととても痛いです。初めは冷たいものにしみていただけだったのに、熱いものにしみるようになり、その後なにをしていてもジンジンと痛くなります(自発痛)。
C3にはどのような治療を行うの?
このような状態になっている歯は、神経の治療(専門用語で「抜髄」と言います。)も一緒にしなければいけません。このように虫歯菌が歯髄まで及ぶと、歯髄が虫歯菌に感染している筐体になります。もともと、歯髄というのは無菌状態でなければ存在できない身体の器官ですので、一旦歯髄に虫歯菌が感染してしまったら、「歯髄を取り除く」という方法以外にその歯を治療する方法がないのです。
また、歯髄が感染した後の、もともと歯髄が入っていた空洞は、象牙質で出来ていて、その表面の虫歯菌も取り除かないと、今度は中からどんどん虫歯が進行していく、という事態に陥ります。
ですので、このように神経の治療を行う、となった時は、何回かかけて歯髄の入っていた管の消毒を行い、最後に再び菌が入ってこないように緊密に封鎖する薬剤を詰める、といった処置を行うので、神経の治療だけでも数回かかります。
そして、神経の治療だけではなく、神経の治療をした後に、歯を補う処置を行います。
神経を取る処置を行う時は、歯の上の方をドリルで開けて行うので、歯の中が空洞になります。その空洞を埋める処置(支台築造)
そして、そのあと、かぶせ物を作る処置、これも鋳造するので、型取りと完成して接着するし処置とで2回かかります。
ですので、神経まで虫歯が及んだ場合は、おおよそ10回くらいはかかると思っておいてください。
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C4
C4はどのような状態?
先ほどのC3の時は、とても痛くて痛くて…という話をしましたが、実は、このじんじんと痛くなるのを越すと痛みは消えます。なぜなら痛みを感知するセンサーである歯髄が死んでしまうからです。
しかし、そうなると歯が痛くないので、虫歯がどんどんと進行してしまいます。
歯の頭(歯冠)の部分が虫歯で溶かされて、形が無くなってしまいますし、神経の入っていた空洞全体に虫歯が及んでしまって、次は歯の根っこの中が虫歯になる、という事態が起こります。
このように、もともとに形が無くなるほどに進んでしまった虫歯をC4とし、歯科用語では「残根」と呼んでいます。
C4にはどのような治療を行うの?
根っこを再利用して土台にして再び歯を‥という事も出来る場合もありますが、可能性が低いと思ってくださった方がいいでしょう。歯の根の長さが残っていたとしても、根の中に虫歯が進んでしまっていたら、想像していた以上に健康な歯の部分は残りません。ある程度の健康な歯の部分がないと、やはり、差し歯の土台として使用するのは難しくなってきます。
もうどうすることもできない場合は、その歯を抜くことになります。そして抜いた後は何らかの方法で補っていくことになります。
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歯を失った後、そのままでも不自由しないし‥と思って放置しているのは後で大変なことになりますので、早めの治療をお勧めします。
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いかがでしたか?気になるあの記号の謎は解決できたでしょうか?少しでもお役に立てましたら幸いです!
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