「最近口が乾くなあ、、ドライマウスっていうのかな?どうしたらいいんだろう。。」
お口の渇きを感じられる方、結構いらっしゃると思います。お口の渇きはドライマウス(口腔乾燥症)といって、唾液量の減少、自律神経のアンバランス、唾液腺周囲の筋力低下などで生じるお口の状態です。
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「口が乾く」ドライマウスとはどんな病気なの?その①特徴的な症状・原因・ドライマウスが原因となるお口のトラブルについて
に症状や原因に関して詳しく書いています。
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ではドライマウスになってしまったら、どのような治療、対処法があるのでしょうか?今回はドライマウスの治療法や自宅で簡単にできる対処法についてお伝えしたいと思います。
お口の渇きをはじめとした「ドライマウス」の自覚症状、どれくらいの割合の人が感じているの?
そもそも、ドライマウスかも、と思うような自覚症状はどのくらいの割合の人が感じていらっしゃるのでしょうか?
政府の調査した結果によると
年代(才) | 軽度乾燥感あり(%) | 乾燥感あり(%) |
---|---|---|
20~39 | 24.7 | 7.9 |
40~64 | 23.1 | 13.3 |
65~ | 28.5 | 27.6 |
引用文献:柿木保明,寺岡加代ほか.年代別にみた口腔乾燥症状の発現頻度に関する調査研究.厚生科学研究費補助金長寿科学総合研究事業「高齢者の口腔乾燥症と唾液物性に関する研
究」平成 13 年度報告書.2002;19-25
と、若い人でも三割、65歳以上の方の場合は6割近くの方が軽度ながらもお口の渇きを自覚しているという事が分かります。
ドライマウスの評価
ドライマウスの原因とは大きく分けて、①唾液量の減少、②口腔粘膜の水分が蒸発している(口呼吸)③唾液を出す機能が落ちている 障害されているといったものがあります。
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これらを評価するのに以下のような検査が行われます。
問診
問診にて「口が乾く」「乾いた物が食べにくい」「べたべたする」「乾いた物が飲み込みにくい」などをチェックします。
また、ドライマウスは現在常時服薬している薬も影響してきますので、常用薬に関してもチェックします。
唾液の分泌状態の測定
唾液の分泌状態は、1)何もしていないとき(安静時)にどれくらい唾液がでるか 2)ガムなど何か噛んだ場合にどれくらい唾液が出るかを検査、評価します。
安静時唾液
ワッテをベロの下に於いて、30秒後、60秒後に取り出して、唾液量を測定する「ワッテ法」と10分館唾液を吐いてもらいその全量を測定する「吐唾法」があります。
刺激時唾液
ガーゼを2分間噛んでもらいしみ込んだ唾液量を測定する「サクソンテスト」とガムを10分間噛んでもらいその全量を測定する「ガム法」があります。
保湿度、水分量測定
潤いがあるかどうかの検査として、舌に検査紙を10秒間置いて、その紙に何ミリ唾液がしみ込むかをみる「湿潤度検査紙」を用いる方法、口腔水分計(モイスチャーチェッカームーカス)を用いて舌上の水分を測定する方法などがあります。
唾液の曳糸性
自律神経のバランスで唾液はサラサラになったり、ねばねばになったりと物性が変わり、それがお口の渇きに影響することがあります。唾液の粘り具合を測定する「ネバメーター」という機械でどれくらい糸を曳くかを検査します。
ドライマウスの治療法・対処法
上記の検査を組み合わせて、ドライマウスの重症度やどのような原因で起こっているのかを評価します。結果を考慮しながら以下のような治療法、対処法がなされることになります。
医療機関で行う治療法、対処法
常用薬の変更か可能かどうかかかりつけ医に対診する
常用薬の影響でドライマウスになっている場合もあります。ドライマウスの重症度によっては常用薬の変更が可能かどうか、ドライマウスを診察した先生が、常用薬を処方したかかりつけ医に聞く場合もあるかもしれません。もし可能であれば根本的な解決が臨めますし、変更しずらい常用薬であったら、対症療法でドライマウスを治療していくことになります。
薬、漢方薬の処方(唾液の分泌促進)
唾液の分泌不足から生じているドライマウスに対処するため、唾液分泌促進効果のある薬剤が処方されることがあります。
塩酸セビメリン、アネトールトリオチン、漢方などが処方されます。薬に関してはお話が長くなりそうなので、後日別途記事にします。
対処療法としての人口唾液、保湿剤の処方
ドライマウスが重度の方になると、食べ物を食べるときに人口唾液がないと食べられない、という方もいらっしゃいます。
そのような方のためには人口唾液
人口唾液(販売名:サリベート)
を用います。また、ハチアズレ
含漱用ハチアズレ顆粒
なども保湿効果と創傷治癒作用がありますので、よく使用されます。
どちらも医療機関で処方されるタイプのお薬となります。
口呼吸に対しての指導
もし、口呼吸のために唾液が蒸発してドライマウスが起こっている場合は、口呼吸に対しての指導を行います。代表的なものが「あいうべ体操」といって、お口を閉じる筋肉を鍛える効果のある体操です。どのようにするかは後述します。
唾液腺マッサージ、舌運動に対しての指導
唾液腺やその周囲の機能低下が疑われる場合は、その周囲の強化の意味合いも込めて、唾液腺マッサージや舌運動に対しての指導が行われます。
お家でできる対処法
このように、医療機関で行われるのは投薬とお家で行うトレーニングの指導ですので、実際の対処の大部分はお家で行う事になります。
お家でできる対処法としては、医療機関で指導されたことを実践することと、それ以外にも以下のようなものが挙げられます。
唾液腺の刺激
唾液とは、「唾液腺」という、唾液を分泌させる器官で作られています。唾液腺はこのイラストの赤い部分で示されているように、顔の耳から顎にかけて左右両側にそれぞれ3か所あり、それぞれ耳の近くにあるものを耳下腺、頬っぺたの近くにあるものを顎下腺、舌から顎の下あたりにかけてあるものを舌下腺といいます。
唾液腺はその周りの筋肉の動きに協調して唾液を作り、分泌します。逆に動きが少ないと分泌を怠ってしまいます。
ですので、口腔乾燥の原因が唾液腺の機能低下である場合は、唾液腺に動きをはじめとした適切な刺激を与えて、働いている状態にすることにより分泌が促されることがあります。
咀嚼
簡単なことのように見えて、実は行えていないものに「咀嚼」があります。どうしても歯が弱くなったりして柔らかいものを食べていると唾液腺周りの筋肉が動かず、結果として唾液腺が機能していない状態になってしまいます。
ですので、食べているものが柔らかいものであっても、顎を動かしてよく噛むようにしてください。
味覚刺激による唾液分泌促進(ポリグルタミン酸)
唾液は酸っぱさなどの味覚に反応して分泌されます。クエン酸が刺激による唾液分泌促進を引き起こす代表的な物質なのですが、1%クエン酸(かなり酸っぱいです!)で唾液分泌促進効果があり、0.1%だと唾液分泌促進効果が得られません。
近年、明治とライオンが共同研究して
とポリグルタミン酸でも唾液促進効果が得られるという事が分かり、商品(アクアバランス薬用マウススプレー ライオン歯科材)にしています。クエン酸と比較して0.1%と比較的低濃度、かつ持続的に効果があるので、唾液促進に一役買うのではないのかな、と思います。商品にどれくらいの濃度配合されているかどうかは分からなかったので、実際有効な濃度入っているかどうかに関しては分かりませんが、他の商品との差別化はされていますので、今後の有効性データに期待したいですね。
筋機能療法
ドライマウスの対処法として、筋機能療法、唾液腺マッサージと舌運動はよく行われています。実際唾液腺マッサージを行うと、行っている最中から唾液が出てくるのを実感できると思いますので、ぜひ日常的に取り入れることをお勧めします。
唾液腺マッサージ
唾液腺は先ほども挙げた通り、顎下腺、耳下腺、舌下腺の3つのバーツから成り立っています。これらのパーツをそれぞれマッサージします。
①顎下腺
顎下腺は顎の下の骨の内側の柔らかい部分に存在します。ちょうど、左のイラストの女性の親指で押している部分当たりが顎下腺です。耳の下あたりから顎の先まで柔らかく押すのを5回から10回繰り返します。
②耳下腺
耳下腺は中央のイラストの女性の4本の指が当たっているあたり、耳の前あたりから上奥歯にかけてに存在します。くるくると指全体で優しく押すのを5回から10回繰り返します。
③顎下腺
顎下腺は右のイラストの女性の親指が当たっているあたり、顎の骨の内側の先から舌の下あたりにあります。顎や舌を押し上げるような気持ちで両手の親指でぐーっと押します。これを5回から10回繰り返します。
唾液の分泌以外にも、お口周りの筋肉がほぐれお口が開きやすくなったり、痛みが緩和したりと色々な効果があります。
タイミングはいつでも構いませんが、お食事前などに行うと、食べ物を食べやすいお口になりますのでいいタイミングなのではと思います。
舌体操
舌も大きい筋肉で、唾液腺のすぐ近くにあるので、動かすことにより唾液腺の機能が向上します。
①舌先で上下の歯ぐきの裏側をぐるりと触る運動
②右頬、左頬の内側に舌先を当てて上下に動かす運動
などを取り入れてみてください。
口呼吸の体操
「お口がポカンと空いている」とよく表現されるのですが、常に通常な状態でお口の上下の唇が閉じておらず、鼻で呼吸していない人を「口呼吸」といいます。
口呼吸の原因はお口周りの筋肉の力が弱いところにありますので、お口周りを鍛える体操を行う事により大幅に改善されます。
お口を鍛える体操で有名なものに「あいうべ体操」というものがあります。
「あ」「い」「う」「べ」という文字を、一回5秒、できるだけ大げさにお口を動かして言い、これを一日30セット繰り返します。
粘膜の保護
お口の中が乾くと痛みや傷ができやすくなりますので、対症療法として、保湿剤がよく使われます。
日常的なケアとしては保湿剤を使用します。ジェル、スプレーなどいろいろな材形がありますので、ご自身が継続して使用しやすいものをチョイスしてください。具体的な製品としては
- オーラルバランスジェル
- バトラー ジェルスプレー (サンスター)
- ウェットキーピング(オーラルケア)
などがあります。
- 浅田飴AZうがい薬
などがアズレンを配合している商品です。
このように普段の生活が少しでも楽になるように色々な方法を組み合わせて対処していければと思います。
いかがでしたか?ドライマウスの対処法について少しでもお役に立てれば幸いです!
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