神経を抜いた後何回か神経の治療して、こないだやっと終わったんだけど、その次はすぐかぶせ物(銀歯)を作るんじゃなくて、「土台を入れましょう」って言われたんだよね。土台って何?
神経の治療が終わってひと段落した方、お疲れ様です。神経の治療が終わってやっと歯を作っていくのかと思いきや、多くの人は「次は土台作りです」と言われると思います。
いきなり土台作り(支台築造)って言われても今まで考えたこともなかったし、一体なに?と思われる方も多いと思います。
あまり考える余地もないまま治療に臨んだり、説明は受けたけれどもいまいち分からない、と思う方のために、今回は「歯の土台作り」に関して分かりやすく解説していきます!
なぜ銀歯・差し歯には土台がいるの?
神経の治療を行った歯は内部が空洞になってしまっているんです。空洞を補強するために土台が必要なんです。
実は、神経の治療をした歯はが空洞になっています。
どうしてかというと…。
まずは、神経の治療をしないといけない歯の断面図です。
歯の中の赤黒く書かれている所が神経が存在するところです。結構大きい部分を占めていると思いませんか?
神経の治療をする際には、虫歯を取り、神経の治療をする器具が歯の中に入るように穴をあけ、そして神経が入っているスペースから神経を取り除きます。こんな感じです
歯を削る機械を使って虫歯など治療の必要なところを削り、中も治療できるように穴をあけ‥
根の先まで治療できる器具を使って先まできれいにしています。
このような治療が終わると根の先のほうは神経の治療で最終的に充填する素材(ガッタパーチャ ピンクの部分)を詰めますが、それ以外の部分は空洞になります。(下の図)
結構大きい部分が空洞になっていますよね。
この空洞を埋め、虫歯や治療で失った歯のスペースを埋める治療が「土台作り(支台築造)」なんです
このままにしていてはいけないの?
この、歯の中の空洞な部分をそのままにしていたら、歯のかみ合わせるときの力に歯が負けてしまい、歯が割れてしまう原因となります。
ですので、歯の空洞を補い強度を保つためにはしかるべき強度を持った材料で歯を補い、かみ合わせに耐えうる耐久性を持った歯に作り上げていかないといけないのです。
これも重要な治療の一つであり、歯科の専門用語では支台築造(しだいちくぞう)と呼ばれています。
この治療は、歯のかぶせ物を作る前の段階で行われます。
※「差し歯」という言い方はこの土台とかぶせ物を一体成型したものに以前よく使われていたのですが、今はほとんど行われていません。土台+かぶせ物で作られている場合がほとんどです。
今でも土台+かぶせ物を「差し歯」と呼んでいる方(特に前歯のかぶせ物とか)も多いので、ここではあえて差し歯と呼んでいます。
いわゆる差し歯などの神経を治療した歯は土台にかぶせ物をかぶせている構造になっている。
と、いう訳で、差し歯や銀歯(かぶせ物)といった神経を治療した歯はおおむねこのような構造になっています。
この図は奥歯(大臼歯)の形なのですが、前歯なども形状の差はあれ同様におこなわれています。
銀歯・差し歯の土台の作り方
銀歯・差し歯の土台は根の治療を行った後に作ります。
銀歯(かぶせ物)・差し歯の土台は歯に直接樹脂を盛り足す「直接法」、土台の形に削って歯型を採りお口の外で作製し、出来上がった土台を接着する「間接法」とがあります。
関連記事で直接法について写真入りで説明しています。↓
間接法は、途中まで直接法と一緒です。
歯の形を整えた後、「アルジネート印象材」
と言われる粘土のような歯型を採る素材で型取りをし、
その型を基にして土台を作製した後、接着剤で接着します。
土台の材料にはいくつかの種類がある。それぞれの土台の利点と欠点は?
このように土台は歯の強度を保つ役割で作成されるので、ある程度の強度を持ったいくつかの材料が使用されています。
以下にそれぞれの材料について説明します。
金属の土台(メタルコア)
金属の土台は保険適用のものは銀合金、自費では金合金で作成されたものがあります。
最近の歯科医院では以前より使用することが減ってきたように思いますが、少し前でしたら何も言わなければおおよそ金属の土台を使用していたように思います。
金属の土台は型取りに1回、装着に1回と計2回の治療が必要になります。
メタルコアの利点
では金属の土台(メタルコア)にはどのようないい点があるのでしょうか?
長年使用された実績がある。安価である
第一に、銀合金でしたら保険適用なので、安価であるという事が言えます。
大体装着する時750円以内(保険診療3割負担で)くらいでしょうか。
また、長年使用されているので、扱いやすい、その後の結果が予想しやすい、ということがあります。
歯質が残り少なくても使用可能
これがメタルコアの最も良い点かもしれません。
金属の土台は強度が大きく、接着も樹脂を使用したものほど防湿に厳格でなくても作製・接着することが可能です。
虫歯などで歯の残っている部分が少なかったり、一部歯肉にめり込んだりしている部分がある歯には(歯の寿命的にはあまり良いことではないのですが)メタルを選択することが多いです。
メタルコアの欠点
では次に金属の土台の欠点はどのようなものなのでしょうか?
歯が割れやすくなる
これは、金属の土台を用いた時の宿命ともいえます。
金属は強度があり硬い材質です。それに比べて歯の材質は金属よりも弱く、力を受けたらしなる性質を持っています。
ですので、長期間かみ合わせていると、かみ合わせによっては歯がしなる部分に金属が当たり続ける、という事が起き、その部分から割れてきてしまう事があります。
歯がどれくらいの厚み残っているかとか、かかる力の加減によって割れる可能性は変わってくるので全員が必ず割れるという訳ではありませんが、
「金属と歯の材質の違いによってわれてくることもある」
というリスクが存在した上での治療になります。
白く透けたかぶせ物をかぶした時に黒うつりする
現在はジルコニア、オールセラミック、CAD/CAM冠など、歯の材質に近い、透け感のある材料でかぶせ物を作るという銀歯以外の選択肢が増えてきました。
しかし、メタルコアの場合は金属なので、このような透け感のあるかぶせ物を付けても、かぶせ物の厚みによってはメタルコアの色を拾ってしまいます。
冠の中が黒く見えて、思ったような透け感が出ない、といったことが生じます。
金属がにじみ出てしまう事も
歯の内部ではありますが、その金属が歯と歯ぐきのふち位まで及んでいると、そこから金属が溶けだします。
そうなると、金属イオンが歯茎に付着することによって歯茎が黒ずむことがあります。
これを「メタルタトゥー」といいます。
金属アレルギーの可能性
これも全員に起こる訳ではないのですが、金属を用いており、溶けだしやすいお口の中にあるので、場合によってはそのメタルコアの内容成分で金属アレルギーを発症してしまう可能性もあります。
樹脂と金属を両方使った土台
支台築造、という技術が考案された時は材料は金属という選択一択だったのもあり、金属での支台築造しかできませんでした。
近年は歯科材料の研究開発が進み、かみ合わせに耐えうる耐久性を持つ樹脂が生まれました。「レジン」と呼ばれる樹脂です。
保険診療では、この樹脂とステンレスを合わせて使用し作製する支台築造があります。
どういうものかというと、根っこの細い部分は既成のステンレスの芯棒を使用し、上部の空洞の部分はレジンという樹脂で作製する、という方法です。
樹脂と金属を両方使った土台の利点
利点としましては、以下のものが挙げられます。
一回の治療で済む。
樹脂を用いた治療は先生がチェアサイドで直接歯に充填して作り上げていくので、型取り→装着といった金属では2回必要な治療が1回で行うことが出来ます。
安価である
実はこれは保険診療で可能なので、比較的安価で行うことが出来ます。おおよそ500円以内保険診療3割負担で)で収まると思います。
金属よりも歯にやさしい(噛み合わせの面は)
噛み合わせの面は金属ではなく、歯に近しいしなりと強度を持つ樹脂なので、金属のようにかみ合わせるたびに歯に負担を与えることはなく歯にやさしい素材だと言えます。
メタルタトゥーが起きにくい
歯茎に近い面に金属が使用されていないので、金属が溶けだして起こるというメタルタトゥーは起きにくいです。
樹脂と金属を両方使った土台の欠点
結局金属は根の先のほうに使用されているので、完全に歯にやさしいとは言えない
多くの部分は樹脂でできているので歯にやささしくはあるのですが、根っこの中のほうは金属で構成されています。
金属の部分は結局しならず歯に金属が力を与えてしまうため、完全に歯にやさしいとは言えません。
樹脂とグラスファイバーを使用した土台
かみ合わせの部分はレジンという樹脂が強度に耐えうるのですが、根っこのような細い部分に関してはもう一つ強度を持たせるための工夫が必要でした。
その要件を満たしたのが、グラスファイバーという繊維です。このグラスファイバーをレジンの中に内包することにより必要な強度が出るようになり、かつ歯と同様なしなりを持つ、歯にやさしい土台を作成することが可能になりました。
樹脂とグラスファイバーを使用した土台の利点
樹脂とグラスファイバーを使用した土台は今までの土台の利点をすべて兼ね備えているように思います。
強度としなりを併せ持つために歯質にやさしく、色も白いのでどのようなかぶせ物でも土台が邪魔をしてしまう、という事はありません。
また、金属を用いていないのでメタルタトゥーや金属アレルギーなどの金属があるために起こるトラブルもないと言えます。
樹脂とグラスファイバーを使用した土台の欠点
強いて言えば比較的高額でああるということでしょうか。
しかしグラスファイバーの種類を選べば保険でも使用可能になりました。1000円ほどです(保険診療3割負担で)
後はまだグラスファイバーを用いた土台が開発されてから年数が経っていないので理論上「これくらい持つ」という事が言えても実際にどのような結果なのかのデータが集まっていないという点も欠点と言えば欠点です。
差し歯の出来上がりのきれいさを追求するならお勧めなのは樹脂とグラスファイバーを使用した土台
このページを見られている方は、やはり差し歯の見た目を気にされている方が多いのではないかと思うので所感として書かせていただきますが、一個人として綺麗に見える差し歯にするならば、歯科医師としてお勧めなのは、やはり、樹脂とグラスファイバー(ファイバーポスト+レジンコア)かなと思います。削り方の工夫で出来るだけメタル色を出さないようにはしたいのですが、やはり全く金属ではないものには勝てない気がします。
しかし、歯の残り具合や強度によっては、どうしても金属しか出来ない場合もありますので、出来ない場合はその先生のおすすめする方法に沿って治療を行われるのがベストです。
いかがでしたか?土台についての知りたいことが分かったでしょうか?少しでもお役に立てれば幸いです!
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