睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療とは?保険でできるの?

睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療について口腔外科

「寝ていても疲れが取れない‥。家族に寝ているときにいびきや息が止まっていることを指摘される‥。」

という方、ひょっとして「睡眠時無呼吸症候群」というキーワードが気になっていらっしゃるのではないでしょうか?

 

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に何らかの原因で呼吸が止まってしまう時間が出来てしまい、そのために十分質の良い睡眠がとれなくなるために疲労や日中の集中力低下などが起こり、仕事や日常生活まで影響を及ぼすことのある疾患です。

 

実は睡眠時無呼吸症候群は歯科で行われるマウスピース治療で改善されます。

 

前回の記事では睡眠時無呼吸症候群全般についてお話させていただきました↓

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?検査、治療、費用、期間について
「寝るときいびきをかく、起きても疲れが取れない‥」睡眠時無呼吸症候群は実は歯科とも関係があるのです。睡眠時無呼吸症候群について症状、検査、治療法、どのような病院にかかればいいかなど詳しく解説します。

 

今回はいよいよ睡眠時無呼吸症候群で行われるマウスピース治療について詳しく解説していきたいと思います!

 

※睡眠時無呼吸症候群で使用されるマウスピースは「スリープスプリント」とも言われます。ここでは同じ意味で扱っています。

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睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療の原理

睡眠時無呼吸症候群の際にマウスピースを使用すると、なぜ改善するのでしょうか?

それは睡眠時無呼吸症候群で用いるマウスピースによって、睡眠時無呼吸症候群が起こるときの、鼻から肺にかけての空気の通り道(上気道)のふさがっている状態を改善するためです。

以前の記事でも書かせていただいたように、睡眠時無呼吸症候群は、鼻から肺にかけての空気の通り道がふさがっていることによって起こります。

上気道をふさいでいる原因として考えられるものとしては首回りについている脂肪、舌の落ち込み、顎の大きさなどなどです。

睡眠時無呼吸症候群が起こ仕組み

では、これらのものがふさがらないように、顎を前に突き出した状態にして睡眠したらいいのではないか、というのが睡眠時無呼吸症候群で用いられるマウスピースの考え方です。

ですので、マウスピースの形としては、下顎から上顎より前に出ている状態で保持されている位置のマウスピースが使用されます

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療は誰でもできるの?保険で出来るの?

では、睡眠時無呼吸症候群で用いられるマウスピース治療は誰でも受けられるのでしょうか?

 

結論としては、「医師の診断が無くてもマウスピース治療は受けることができます」

しかし、「保険で睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療を受けるときは医師の診断が必要です」

睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療は、2004年より閉塞性睡眠時無呼吸症候群については保険適用されています。

しかし保険診療の範囲内で受けようと保険診療のルールに則った治療が必要になります。

前回の記事で記載した

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?検査、治療、費用、期間について
「寝るときいびきをかく、起きても疲れが取れない‥」睡眠時無呼吸症候群は実は歯科とも関係があるのです。睡眠時無呼吸症候群について症状、検査、治療法、どのような病院にかかればいいかなど詳しく解説します。

 

睡眠時無呼吸症候群かどうか判断するために必要な検査を受けた後に

睡眠時無呼吸症候群の診断のできる医療機関で、”中等度以上の睡眠時無呼吸症候群”と診断され、歯科医院への紹介状を書いてもらう必要があります。

このような手順の治療以外の場合、例えば睡眠時無呼吸かもしれない、いびきがひどいなど診断は受けていないけれども思い当たる節のあり、直接歯科医院に来院し、マウスピース治療を受ける人は自費(全額負担)でマウスピース治療を受けることになります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピースはどのようなものなの?

睡眠時無呼吸症候群のマウスピースは「下顎が上顎よりも前に出る位置に保たれる」ような形状のものになります。

固定式スリープスプリント

このように、上顎と下顎が固定されているものや

可動式スリープスプリント

ある程度可動性を持たせつつ、下顎が後ろに行きすぎないようにとめてあるもの等があります。

また、保険適用は使用できる材料が制限されており、もっと快適さや自由度が高いマウスピースが欲しい、という人には

メタルスプリント

例えば金属を用いて歯で上下を固定するようなスプリントや

ソムノデント

下顎の動きが楽にできる装置など、バリエーションがあります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピースはどのように作られるの?

では、マウスピースはどのような流れで作製されるのでしょうか?いかに一般的な流れを記します。

①歯科医院に行く

まず、睡眠時無呼吸症候群のマウスピースが作製できる歯科医院、保険診療を受けるのでしたら睡眠時無呼吸症候群の診断を受けた病院から紹介された歯科医院に行きます。保険診療でしたら紹介状の内容の確認、全額自己負担(自費)での診療でしたら問診や必要な検査を受けます。

②歯の型取りをする

問診が終わったら歯の型取りをします。

上の写真のように粘土のように柔らかい「アルジネート」と言われる型取りの材料をのせたトレーを口の中に入れ、固まるまでしばらくそのままでいます。

お口の中に大きな異物が入るので、えずいてしまわないように、入っている最中はお鼻でゆっくり呼吸するとしんどくなく過ごす事が出来ます。

③かみ合わせを取る

上下の歯型が取れたら、次は上下のあごの位置のかみ合わせを取ります。

睡眠時無呼吸症候群の場合は噛み合わせは2つ、通常のかみ合わせと下顎を前に突き出した状態のかみ合わせと2つ取ります。

④マウスピースの完成

歯型をかみ合わせを取ると、その日の治療は終了です。それらの資料を基にマウスピースを作製します。およそ1週間くらいしてマウスピースが完成します。

マウスピースをお渡しし、自宅で使用してもらった後、使用できるか、不具合がないか聞き、使いにくいようだったら後日調整を行います。

⑤診断された医療機関での評価

保険診療の場合は、ある程度継続して使用できるようになり、ある程度の期間が経過したら診断された医療機関で睡眠時無呼吸症候群がどの程度改善されたか、再び検査を行い再評価されます。

 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療の治療期間

では、このマウスピース治療はどのくらいの期間行われるのでしょうか?

装着後、睡眠できているかどうかのチェックを行われ、改善が見られたらこの治療は成功していると言えます。

しかし、マウスピースでの治療は、「装着することにより気道を確保する」ための治療なので、「気道をふさぐ原因を解決」している訳ではありません。

ですので、睡眠時無呼吸症候群を根本的に解決するには各人の持つ原因の改善(気道がある程度確保される)がない限り改善しないので、それらが改善されない限りはマウスピース治療は継続する必要がある、という事になります。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療にかかる保険の場合の費用は?全額自己負担の場合の費用は?

睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療は保険の場合、目安ですが、

一回目は型取り、顎の位置取り、そのたもろもろの費用で、3割負担でおよそ4000円程度

二回目はマウスピースの費用で、3割負担でおよそ13000円程度

の料金になるかと思います。

自費の場合は装置によって変わりますが、15万円程度が相場なのではないかとおもいます。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマウスピース治療はどのような病院で受けれるの?

睡眠時無呼吸症候群のマウスピース治療のできる歯科医院は現在のところあまり多くないのが現状です。保険適用のマウスピース治療を行っている歯科医院は、睡眠時無呼吸症候群の診断を行っている医療機関と連携している歯科医院なのが大半だと思います。全額自己負担(自費)の場合はそれぞれの歯科医院が行っていることを公表していると思いますので、インターネット等で探すか、直接、受診したい歯科医院に、マウスピース治療をおこなっているかどうかを聞いてみるというのが一番確実かと思います。

 

いかがでしたか?睡眠時無呼吸症候群で行われるマウスピース治療について、知りたいことは分かりましたでしょうか?少しでもお役に立てたら幸いです!

 

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