
前から5番目の歯を失ってしまったんだけど、保険のブリッジで白い歯が出来るようになったって本当!?
保険には厳しい制限があり、従来は「奥歯のブリッジ」で白い歯は認められませんでした。
奥歯とはいえ前歯に近い奥歯は銀色なのが見えるし、気になる人も多かったと思います。
しかし、平成30年(2018年)の4月から、条件付きで奥歯のブリッジにも保険で白い歯の材料を使用していいことになりました。
今回認められたのは「前から5番目の奥歯(第2小臼歯)」への保険適用です。
「高強度硬質レジンブリッジ」という材料が使用されることになりました。
では、どのようなものなのか見ていきたいと思います!
保険で白い歯のブリッジ(高強度硬質レジンブリッジ)が出来る条件

今回認められた保険の白い歯のブリッジも、すべての失われた歯に使用できる訳ではありません。
以前関連記事の「白い歯で奥歯を被せ物にする」お話を書いたときにも触れましたが、


日本の保険診療は諸外国に比べてとても安価で出来る代わりに、使用できる条件には厳しい決まりがあります。
今回保険で白い歯のブリッジが出来るのも、「前から5番目の奥歯」と決まっています。
それも、
上下顎両側すべての第二大臼歯が残存し、左右の咬合支持が確保されている患者に対し、過度な咬合圧が加わらない場合等に、第二小臼歯の欠損に対して、第一小臼歯および第一大臼歯を支台歯とするブリッジに使用する場合に算定する。
という条件がついています。
書いてあることそのままだとわかりにくいので図で言いますと、
この、
・黄色でマークしている「前から7番目」の歯はすべて残っていること
そして、前から5番目の奥歯がブリッジに出来ます。赤丸で示した4箇所が該当箇所になります。
ブリッジは前後の歯を削って土台にするので、それぞれの、前から5番目の歯の部分の前後の歯があることが必須です。
赤丸の前後の青く囲んだ部分がブリッジになる、ということになります。
また、以前の白い被せ物と同様、金属アレルギーが然るべき機関で認められた人に関しては適用する範囲が広くなっています。
保険の白い歯のブリッジに使われている「高強度硬質レジンブリッジ」とは?
従来はクラウンやブリッジと言った歯の被せ物は、噛む時に大きな力がかかるため、白い材料では難しかったのですが、最近はセラミック、ジルコニアをはじめとした白い材料が多く開発されてきました。
白い材料を保険診療に使用するにはコスト面や耐久性などの問題があったのですが、
近年、「CADCAM冠」という、レジンという樹脂の材料とセラミックを混ぜて圧縮した材料を用いることによって、コストと強度の両方を満たす被せ物の材料が開発され、保険適用に至っています。
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今回の白い歯の「ブリッジ」という被せ物を用いた歯を補う方法は、また異なった材料・手法を用いて開発されています。
グラスファイバーで歯のフレームを作成し、その上に歯の形を作り上げる
今回保険適用された白い歯のブリッジは「超硬質レジンブリッジ」と言います。
この「超硬質レジンブリッジ」はどのようなものかというと、
はじめに、「グラスファイバー」と言われるかみ合わせの力に耐えうるガラス繊維を織り込んだ材料で被せ物の骨組み(フレーム)を作成します。
そして作成した骨組みの上に、現在歯科で使用されている素材「レジン」を使って、歯の形に仕上げます。

鉄筋コンクリートのように2つの素材を組み合わす事によって強度を得ているのですね。
保険の白い歯のブリッジにかかる費用は?

この「超硬質レジンブリッジ」にかかる費用はどのくらいなのでしょうか?
保険診療は 1点=10円ですべての処置はあらかじめ値段が決まっています。
「ブリッジ」を入れるのに必要な、①歯を削る処置(形成) ②型採り(印象) ③装着 の3回の処置にかかる費用は以下のようになっています。
(数字は点数を示しています)
①歯を削る処置(形成)
2.歯冠形成加算(1歯につき)470
3.ブリッジ形成加算(1歯につき)20
歯を削り形を整える処置を行うときは、上の3つの保険点数が加算されます。
歯を削る処置(1.形成料)超硬質レジンブリッジを作成するために必要な費用が加算されています(2.3)
1に記載されている生活歯は神経が生きている歯、失活歯はその歯の神経が死んでいて治療をしている歯ということです。ブリッジで削る歯の本数分計上されます。
②型採り(印象)
2.咬合採得76
3.リテーナー100
型取りの処置を行う時は、型取り(1.印象採得)と同時にかみ合わせの位置どり(2.咬合採得)を行い、最後に仮歯(3.リテーナー)をつけます。
それぞれの費用が加算されます。
③装着
ブリッジ材料料 1600
装着料(装着材料料を含む)150
内面処理加算90
維持管理料330
保険の白い歯のブリッジにかかる費用の合計は?
これらの処置を合計すると、両支台歯が失活歯の場合は6440点になります。

保険点数は1点10円なので、総費用は64400円ですね。
入っている保険によって自己負担額が変わってきますが、
例えば3割自己負担の方でしたら、19320円となります。
所感(個人的感想)
金属の費用が無いからか新しい治療の割には随分安価なように思います。

これは個人的な感想なのですが、ファイバーとレジンの組み合わせによる耐久性の相乗作用がどれだけあるのか想像が付かないので、欠損歯を補うに耐えれるだけの強度があるのかな?と思ってします。
このあたりは今後勉強しなければならないところだと思います。また追加情報があれば記載していきたいと思います。
※これはどの新しい治療でも言えることなのですが、耐久性などに関してはある程度は試験しているものの未知数のところがあります。
保険適用される前に大学で臨床試験されており、その試験結果をまとめたものがありました。
(題名:グラスファイバーで補強された高強度コンポジットレジンを用いた 3ユニットブリッジ治療について)
概ね2年は良好な経過を辿っているとのことです。
保険診療で歯を補う場合、保証期間は2年と定められているので、その条件はクリアしているようです。
それ以上長い期間の耐久性については今後のデータに期待です。

いかがでしたか?白い歯の保険のブリッジについて、知りたい情報はありましたでしょうか?少しでもお役に立てれば幸いです!
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