
歯を失ったんだけど、歯医者さんから「ブリッジ」という治療を勧められたんだけど・・・、聞いたけどなんとなくピンとこなくて。他にも治療方法があるらしいし、「ブリッジ」は何が良くて何がデメリットなの?
何らかの原因ではを失った後、歯医者さんから幾つかの「歯を補うための治療」が提案されると思います。
その中の一つ、「ブリッジ」。
歯医者さんの世界では当たり前のように毎日治療していますが、今まで歯を失ったことがなかったら、どのようなものかイメージがつきにくいと思います。

そこで、今回は歯科治療でよく行われる、「ブリッジ」について深掘りしていきたいと思います!
歯科治療で行われるブリッジとは?
失った歯を補うために行う歯科治療、「ブリッジ」
まずイラストを見てみましょう
ブリッジ とはどんなもの?イラスト画像
これがブリッジが入った歯のイラストです。
緑色の丸で囲まれている部分がブリッジです。歯の数で言えば3本がブリッジになっています。
歯のない部分は矢印で指し示した部分です。
ブリッジは英語で「橋」という意味です。
歯のない部分を補うように、両隣の歯を使用して、歯のない部分を「橋桁に橋をかけて補う」ような形で作られています。
ブリッジの治療の方法

それでは「ブリッジ」は実際どのような流れ、方法で治療されるのでしょうか?
イラストを交えながらご説明していきます。
このように、なんらかの理由で歯を失うと、失った歯の部分に穴(抜歯窩)が空きます。
抜けた後しばらく穴がふさがり形が落ち着くまで待ちます。(個人差はありますが1ヶ月ほど)
歯が抜けた後の穴が落ち着いたら、穴の両隣の歯を削ります。歯を削る形は、歯の被せ物を作るときと同じ形状です。
この時両隣の歯を削る時、削られた歯が生きている場合痛みが生じる場合があります。
日にち薬で治る場合もありますが、痛みが持続的に続く、痛みが大きく我慢できない等の場合は、削った歯の神経を抜く場合があります。
また、そのようになる可能性が高い場合は予め削る歯の神経を抜く処置を行ってから歯をブリッジの形に削る場合もあります。
そして、削り終わったら型取り(印象採得)、かみ合わせ取り(咬合採得)を行って、その型をもとにして歯の形に合わせたブリッジを技巧所で作製します。
作製したブリッジはこの図のように3本の歯がつながっています。そして、削った歯の部分にブリッジを接着剤(セメント)で接着し、ブリッジの完成です。
出来上がりました、このように見た目は普通の被せ物と変わりないようにできています。
しかし、普通の歯、被せ物と異なり「3本の歯がくっついていること」「くっついているのでフロス等は通らない」などがあります。
ブリッジ治療はどの歯でもできるのか?

今回のブリッジの作製例は前歯でしたが、もちろん奥歯や小さい奥歯でも可能です。

しかし、補いたい部分の隣に歯がない、補いたい部分が大きすぎる、といった場合はブリッジ治療ができない時もあります。
特に、保険診療では補える範囲は厳格に決まっており、計算式で算出して、OKな場合のみ保険適用できます。
難しいので割愛しますが、Duchange の修正法にさらに修正を加えた計算式が採用されています。

また、保険診療的にはOKでも、残っている歯が歯周病などで支える強度がない、と判断した場合は、ブリッジをオススメしない場合もあります。
ブリッジ治療は保険、全額自己負担、どっち?
基本、ブリッジ治療は保険でも可能です。
でも、先程記したように、保険診療でのブリッジは、強度などを満たしていないと保険適用にならないので、残っている両隣の歯があるかどうかで保険診療ができるかどうかが変わってきます。
歯が足りていないと絶対ブリッジ治療ができないのか、というとそういう訳ではありません。
そのような場合でも全額自己負担(自費)だったら可能になります。
ブリッジで全額自己負担になる場合としては、
- 強度的に保険診療では不可であった場合
- 保険診療で認められている以外の材料を使いたい場合
などです。
保険診療の場合、どうしても目立つ部分に金属を使用しなければならないケースが多く、目立つ部分も白い材料にしたい、という場合は全額自己負担での診療となります。
歯科のブリッジ治療にかかる 費用、 値段は?
歯科のブリッジ治療にかかる費用は、保険では予め決まっています。実際はブリッジ治療にかかる費用以外に管理料や歯をキレイにする処置などが入るので、それ以外の支払いもプラスされると思っておいてください。
ブリッジは、失った歯を補う部分は1本だったとしても、それを支える橋桁の部分 も処置していますので、その部分も最低プラス2本治療が必要です。
補う部位によっては橋桁として使用する歯が3本、4本になることもあるので、そのような場合はそれもプラスされると思っておいてください。
前歯は「レジン前装冠」といって見える部分は白い歯になるように作製します。
レジン前装冠の場合、冠の保険点数は1632点です。
1点10円ですので、3割負担の方だと、4896円が「レジン前装冠」のみの費用ですが、実際には技術料、接着にかかる費用、管理料など、また、被せる前の型取りにも保険3割負担で2000円ほどかかるので結局もろもろの費用は1本あたり8000円くらいになるでしょう。
奥歯は「FMC(全部鋳造冠)」といって、全て銀色の歯になります。
全部鋳造冠は967点です。
1点10円換算で、3割負担だったら2900円ですが、これもそれ以外にかかる諸費用がありますので、1本あたり3500〜4000円くらいはすると思っておいてください。
また、最近は小臼歯という小さい奥歯に限られてのことですが、金属を使用しない白い材料のブリッジも保険適用になりました(参考記事↓)

歯科のブリッジ治療にかかる期間は?
歯科のブリッジ治療にかかる期間はどのくらいかかるのでしょうか?
まずは失った歯があったところの穴が落ち着くまで1ヶ月。
その後ブリッジ治療に着手します。
時間、回数がかかるかどうかは両隣の歯にどれくらい治療が必要か、によって変わります。
両隣の歯の神経を抜かなければならない場合は、神経の治療に必要な回数、土台まで入れて、4〜5回はかかります。

2本神経の治療が必要だったら神経の治療で4〜5回✕2はかかるという計算です。
両隣の歯が土台まで完成したらその後は、
- 両隣の歯の形を削って整える
- 型取りをする
これで、1回(場合によっては2回)
出来上がったブリッジを装着する
これで完成です。
ブリッジ治療のメリットデメリット
では次に、ブリッジ治療のメリット、デメリットをあげてみましょう。
ブリッジ治療のメリット
ブリッジ治療のメリットは、出来上がりはクラウンのような被せ物とあまり変わりのない仕上がりになることです。
入れ歯でしたら、入れ歯の金具が見えたりしますので、歯を補っていること目立ってしまうので嫌な方はブリッジを好まれる用に思います。
また、入れ歯のように取り外しが必要だったり、特別なお手入れが必要ということもありません。
また、使用は限られているものの、だいたいの場合は保険診療可能です。
そのような点がブリッジのメリットです。
ブリッジ治療のデメリットは?
次はブリッジ治療のデメリットです。
先程も上げたように、ブリッジは治療できる歯が限られています。
原則両隣に歯がないと治療できません。(一番奥歯に限り延長ブリッジと言って隣の歯がなくてもブリッジができる場合がありますが、歯に負担がかかるのでおすすめできません。)
また、歯のない部分が多いと、ブリッジでは支える力が足りず、できません。
次に挙げるデメリットとしては、
両隣の歯は削らなければいけない、場合によっては神経を抜かないといけないことです。

これは、歯を虫歯にならない、トラブルにならないよう保つ、という観点からは大きいデメリットになるように思います。
両隣の歯が大きい虫歯だったり治療が必要な歯でしたら、結局は必要な処置になるので
「勿体無い・・」という気持ちは少ないのですが、虫歯も何もない、健康な歯だった場合は、そのような歯を削るのは歯科医師としては勿体無い気持ちです。
なぜなら、被せ物や神経の治療を行った歯、というのは、小さい虫歯治療、もしくは虫歯治療を行っていない歯と比べて、虫歯になったり、歯が折れたりするリスクが上昇するからです。
被せ物を行ったらどうしても被せ物の縁のところに汚れがつきやすくなり、虫歯のリスクが増えますし、神経の治療を行ったら、大きい虫歯になっても気がつきにくく、歯を失う原因になってしまうこともままあります。
両隣の歯を削りたくない、という思いがあるのであれば、それ以外の治療、入れ歯やインプラントという選択を行う方がいいでしょう。参考記事↓↓

ブリッジ治療で起こるトラブル
ブリッジ治療が終了した後、その歯は人工物になったので、その後は虫歯になったりすることはないのでしょうか?半永久的に持つのでしょうか?
もちろんそのようなことはありません。ブリッジは歯に被せ物をしている形状ですが、被せ物の周りは、きちんとお手入れをしないと、細菌(プラーク)が付きます。
プラークには歯周病や虫歯の原因菌がたくさん潜んでいますので、そのままにしておくと、歯茎のトラブル、被せ物の縁から起こる虫歯などのトラブルがもちろん起こってきます。
ブリッジを行った後、よく耳にするトラブルについてまとめてみました。
ブリッジ 歯 臭い
ブリッジの歯が臭い感じがする。。
ブリッジの縁の部分や補った歯と歯茎の隙間などは食べかすやプラークが付着しやすいです。
ですので、その部分に長い期間それらの汚れが滞留していると、歯周炎になりくさい臭いがしたり、また、ブリッジの中の歯が虫歯になって臭うことがあります。
歯周炎の場合は歯科医院で原因を除去すること、虫歯の場合はブリッジを取り虫歯の部分を治療することにより匂いが収まります。
ブリッジ 歯茎 腫れ
ブリッジの歯茎が腫れるのも、上記と同じ原因です。
ブリッジは通常の歯と比較して磨くには難しい形状をしていることがあるので、汚れが溜まりやすいです。歯茎が腫れてきてしまっている場合は歯科医院で原因の除去、抗生物質の投与を行うことにより、腫れが和らぎます。
ブリッジ 歯 痛い
時間が経過したら、ブリッジを入れた歯が痛くなることもあります。
ブリッジは歯に被せ物がしてある形状になっていますので、もし、その歯に神経があり、中で虫歯が広がっていたら、神経に虫歯が感染し、「歯髄炎」を起こすこともあります。
また、神経の処置をすでにしている歯でも、根の先に炎症が起きている(根尖性歯周炎)、
歯が割れてきている(破折)、歯茎の部分が痛い(歯周炎)などになっている可能性が考えられます。
どれが原因かは専門家でないと判断できないので、早めに歯科医院を受診することをオススメします。
ブリッジの歯はどのような手入れをしたらいいの?
このように、ブリッジの歯もお手入れを行わないと他の歯と同様歯のトラブルを起こします。
ではブリッジはどのようなお手入れをしたら良いのでしょうか?

基本的にはクラウン(被せ物)の歯と同じようなお手入れを心がけていけば良いと思います。
クラウン(被せ物)は歯ではありませんが、プラークが付着します。
被せ物部分に付着しているプラークは歯ブラシで丁寧に取り除きましょう。
私は市販ではこの歯ブラシ、
歯科専売品ではこの歯ブラシが一番好きでリピートしています。
PTTブレンド毛という他にはない毛を使用しているので、柔らかいのにコシがあり、プラークの除去効率が高いように思います。
被せ物を磨くときは特に、「縁のところを磨く」事に留意してください。
ふちの部分には汚れが溜まりやすく、その部分から虫歯になることが頻発しています。
また、補った歯の下の部分に汚れが溜まりやすい人の場合は
ブリッジ用のフロスを使用するのもおすすめです。
このフロスはところどころ細くて硬い部分があり、ブリッジの下を通りやすいようにしています。
このようなフロスを使用し、お手入れをしていきましょう。
しかし、日々のお手入れを行っていても、どうしても難しい部分は汚れが残るものです。
そのような部分をスペシャルケアしてもらうためにも、3ヶ月に1回は歯科医院に定期検診に行き、汚れを取ってもらうことをオススメします。

いかがでしたか?ブリッジについて知りたい疑問は解決したでしょうか?少しでもお役に立てたら幸いです!
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