
最近歯科医院で行っていないホワイトニング「セルフホワイトニング」ってよく聞くけど、どういうホワイトニングなんだろう?効果はあるの?
このように思われている方、少なくないと思います。

実は私もこのように思っている一人でした。
「歯のセルフホワイトニング」を実施している歯科医院はごくごく少数で、大半が歯科医院ではないということもあって、情報が入ってこず、「どのようなものなんだろう」と常々思っていたのもあったので、今回調べてみました。

それでは今からご説明していきますね!
※セルフホワイトニングには幾つか種類がありますが、今回は酸化チタンを用いたホワイトニングのみ取り上げています。
セルフホワイトニングの原理
セルフホワイトニングは、
酸化チタンが持つ光触媒機能を利用したホワイトニング法です。
酸化チタンというのは、食品や化粧品にも使用されている成分です。
例えば、日焼け止めのファンデーションとか、食品だったら白い色を出すための着色料として使用されています。
安全性に関しても口から食べる(経口)分に関しては問題ないとされています。
酸化チタンにはある特徴があります。
酸化チタンに特殊な光(決まった波長の光)を当てたら、水を酸素と水素に分解するんです。
この時水が分解されてできた酸素は「活性酸素」と言います。
この「活性酸素」が近くにある汚れを分解する役割を持つのです。
そして、「歯のセルフホワイトニング」には、このメカニズムが応用されています。

歯の表面に酸化チタンを塗り、特殊な光を当てる事により、歯の表面の汚れが分解され、なくなります。
歯の表面についた汚れがなくなることにより、歯の本来の白さが取り戻されるのです。
セルフホワイトニングで使用される酸化チタンはどの酸化チタンでも良いわけではありません。
通常の酸化チタンは紫外線にしか反応しません。
紫外線の照射は体にも影響が出てしまい健康被害がでる可能性もあります。

ですので、セルフホワイトニングで使用されている酸化チタンは人体に安全に使用できるように、特別に加工されており、目に見える範囲の、健康に影響のない光で作用するものになっています。
セルフホワイトニングの方法
セルフホワイトニングは歯科医院で行うホワイトニングと同様、自宅で行うホワイトニングと、サロン等の施設で行われるホワイトニングと両方あります。
サロンでのセルフホワイトニングの方法
歯科医院と異なるのはサロンでのホワイトニングは、施術は自分で行うところです。
まず、歯磨きで自分の歯をキレイにし、その後酸化チタンの薬液を塗り、その後特殊な光(特定の波長のLED)を一定時間当てます。(場合によっては数回照射)
そして最後に歯磨きをして終了です。
自宅でのセルフホワイトニングの方法
自宅での方法もほぼおなじ方法です。
歯磨きではをキレイにし、薬液を塗ります。
場合によっては歯磨きと薬液が同じものもあるかもしれません。
そして、LEDの照射器、メーカーによってトレー上のものなど色々ありますが、それを一定期間照射します。
セルフホワイトニングの効果
歯の汚れというのは色は「着色」と「変色」の2種類あります。
「着色」は歯の表面についている汚れで「変色」は歯そのものの色が変化したものです。歯の内部の話になります。

セルフホワイトニングを使って白くできるのは「着色」です。
日常生活を送っていたら、歯に汚れが付きます。
お茶やワインなどに含まれている「ステイン」などが代表的な汚れです。
それが取れるだけでもだいぶ歯の色のトーンが明るくなると思います。
しかし、歯は本来の色は黄色みを帯びており、個人差があります。
このような歯の黄色みを明るくするには酸化チタン以外の薬液での処置が必要になってきます。
その際には歯科医院でのホワイトニングが有効になってきます。

ですので、「歯の本来の色で良い」と思っている方はセルフホワイトニングのほうがニーズに合っているでしょうし、「白い!」とわかるくらいの白さになりたいのであれば歯科医院でのホワイトニングが合っていると思います。
後、酸化チタンは歯の表面の細かな汚れは取れるのですが、歯石のように歯にこびりついてしまった汚れは歯科医院に行かなければ取れません。
すべての汚れに万能な訳ではないので、
「歯の汚れはセルフホワイトニングに行っているから大丈夫」
ということではありませんので、ご注意を。
歯科医院でのホワイトニングとの違い
では、歯科医院で行うホワイトニングとどのようなところが異なるのでしょうか?
次にあげてみましょう
使用する薬剤が異なる(歯科医院は過酸化水素、過酸化尿素。セルフホワイトニングは酸化チタン)
今までも述べたとおり、歯科医院とセルフホワイトニングでは使用する薬剤がことなります。
歯科医院で使用する薬剤は過酸化水素、過酸化尿素
セルフホワイトニングは酸化チタン、アパタイトなどです。
過酸化水素は歯の内部に入って漂白を行いますので、酸化チタンを使用した時より歯の内部の色味も解消できます。
しかし、薬液の性質上、歯科医院で使用する薬剤はある程度しみる場合もあります。
歯科医院とセルフホワイトニングは目指す効果が異なる
歯科医院とセルフホワイトニングは目指す効果が異なります。
セルフホワイトニングはあくまで歯の表面の汚れを取り除く方法です。歯の本来の白さになります。
しかし、歯のもともと持つ黄色みはとれません。
芸能人のように見て「白い」とわかるはなるには歯科医院のホワイトニングがおすすめです。
セルフホワイトニングは歯科医院のホワイトニングと比較して費用は安価
歯科医院のホワイトニングは、医院で行うものは8000円ほど、トレーと薬液を購入して自宅で行うホームホワイトニングは3万円ほどの物が多いです。
セルフホワイトニングは一回3000円ほどですので、セルフホワイトニングは歯科医院でのホワイトニングより比較的安価です。
歯科医院だと何かあった時に対応ができる
歯科医院でホワイトニングを受けるメリットは、歯のトラブルがあった時、見つかったときは歯科医院で対応できることです。
歯石など、セルフホワイトニングでは取れない汚れもしっかり除去してから行います。
虫歯や歯周病があれば適切な処置が行えるので、よりお口の中を健康に白くしたい方は歯科医院でのホワイトニングがおすすめです。
セルフホワイトニングは法律(薬機法)的に合法

ホワイトニングは人の体に影響を及ぼすものだから、医師歯科医師以外が行うのは違法ではないかしら。。
私もこの部分に関しては疑問に思っていました。
- セルフホワイトニングはすべて自分で行うので歯科医師法的には抵触なし。
- 使用している薬液の効果効能の中に「歯を白くする」といった成分が入っているので、薬機法的にはOK
という仕組みで法律的には合法のようです。
日本は「○○に効果がある、○○を治す」という表現にとても慎重な国で、規制も厳格です。
「歯を白くする」という表現をするにはその物質が厚生労働省に承認・認可を貰わなければ言えません。

酸化チタンは「歯を白くする」表現ができる承認・認可はとっていなさそうですが、使用している薬液にきっと「歯を白くする」と表現できる成分も一緒に配合しているからOK、という方法を取っているのでしょうね・・・。
セルフホワイトニングに対しての所感
歯科医師から見たセルフホワイトニングの所感です。
セルフホワイトニングは「アリ」かもと思いました。
セルフホワイトニングは歯の表面の汚れ(有機物)を除去するので、歯の健康には良さそうです。
効果に関しても文献を幾つか見ましたが、効果がありそうです。
私としては、例えば歯科医院でのホワイトニングの後の後戻り防止
などでも大いに使用できるのではないか、と思います。

しかし、セルフホワイトニングの宣伝広告によく使われているモデルさんの歯の色調は、セルフホワイトニングでは難しいのでは。。。
と思ったのも事実です。
日本人の場合、歯の本来の色は
(これは歯の色調を表した色見本です)
これの、青い線で示したラインくらいの色調の人が多いです。
見た目に「歯が白いな」と思われるのは、水色のラインで示した色調です。
もし広告のモデルさんの写真を見て、「こんなに白くなる!」と思ってされるのでしたら、少し考えた方がいいかもしれません。
実際のところ、効果のほどは幾つかの文献と、サロンの方がアップしてくださっている症例写真くらいで、本当のところは断言できません。
そのようなじょうたいなので、今後は自分で何品か購入なりサロンを利用したりなどで使用して、できたらまたこのサイトで報告していきたいと思います。
参考文献:
1)歯のホワイトニングと外来性色素による後戻り現象に関する実験的研究(奥羽大歯学誌 vol30(4);289-302)
2)特別なマウスピース(ホワイトニング LED)の使用を含む口腔ケアによる歯のホワイトニング効果の検証 診療と新薬・第 55 巻 第 8 号(2018 年 8 月)
歯のホワイトニングは確実に「歯に対しての関心が高まる」

歯科医院で最も頭を悩ませているのが「歯に関心をもつ、歯を大事にする」モチベーションをどうやって持ってもらうのかというところなんです。
しかし、いきなり歯科医院に行くのはきっと皆さんハードルが高いだろうな、、とも思っていましたので、
ご自身の歯が白くなることによって、
「歯が白くなったのに、一箇所黒いところがある、虫歯かも・・・」
「歯が白くなったら歯茎もキレイにしたくなってきた!」
「歯が白くなった!もっともっと白くなりたい」
など、お口に興味が出てきて、歯科医院に行きたい気持ちが高まってくれるのであれば、社会的にもいい仕組になるのでは、と思います。
酸化チタンやLED照射器の選択には注意が必要

酸化チタンやLEDはよく選ぶべきと思いました。
酸化チタンの種類(チタン以外にアパタイトなどの光触媒物質もあるらしい)や照射器の波長など、なんでも良いわけでは無いように思います。
ただ真似して作成して販売しているような商品だと効果が異なる可能性も無きにしもあらずなのではと思いますので、選ぶときはそのあたりもしっかり熟考する方がいいと思います。

歯科医院に行くのには気後れする人も、これをきっかけに歯の予防、治療に関心を持ってもらえるのであれば良いことなのではないかと思います。

しかし、虫歯、歯周病など、歯のトラブルに関しては絶対に歯科医院に行かないと治りませんので、勇気を持って歯科医院に来てくださいね!
セルフホワイトニングについて、疑問に思っていたことは解決しましたでしょうか?少しでもお役に立てたら幸いです!
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