口腔がんとは:原因、見た目(所見)、ステージ、担当科などについて

口腔癌についての説明 口腔外科

癌って色々あるけど、お口の中にもできるものなの?知らなかった・・・。見た目は?どんな所にできるの?

「がん」は皮膚(上皮)の細胞が悪性化して、不規則に増殖し、命を脅かす疾患です。

内臓にできる癌は耳にすることが多いと思いますが、癌がお口の中にもできるものだ、という事は知らなかった人も多いのではないのでしょうか。

お口の中にできる癌は「口腔がん」と言い、歯茎や舌など、お口の中の粘膜のある所に生じます。

 

Dr.Den
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今回は、お口の中の癌について、発生頻度、どのような治療があるか、また、がんになりやすい状態(前がん病変)について説明していきますね

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口腔がんとは

Dr.Den
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そもそも「がん」とはどのような状態を言うのでしょうか?いかにご説明します。

がんとは別の名を「悪性新生物」、英語ではNeoplasm、cancerと言われています。

人間の体の細胞は増えたり(増殖)、増え過ぎたら古い細胞は死んでしまうなどして、数が適正に調節されています。

しかし、何らかの原因で調節機構が壊れてしまう細胞ができることがあります。

 

そのような細胞が多くが体の免疫細胞によって淘汰されます。

免疫細胞の攻撃から逃れ、ある程度数が増えると、体に備わっている免疫力では封じ込める事ができなくなり、細胞を維持するはずの人間の生命を蝕んでしまうほど無秩序に増殖してしまいます。

このような経過をたどるのが「悪性新生物(がん)」です。

 

 

Dr.Den
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「口腔がん」とはお口の中にできる「がん」の総称になります。

 

悪性新生物(がん)には

  • 皮膚や粘膜など、体の表面(上皮)の細胞からできる「癌腫」
  • それ以外の細胞からできる「肉腫」

の2種類があるのですが、お口の中にできるがんは、だいたいが歯や舌の粘膜が由来となって発生しますので、体の表面の細胞(上皮)からできる「癌腫」になります。(頭頸部のがんで肉腫は3〜8%程度)

口腔がんの統計

世界の口腔がんの疫学

世界では27万4000人の人が口腔がんになっており、12万7000人の人が命を落としています。

男女比は 2.5:1 で、男性のほうが多い割合です。

(Perkin DM et al . CA cancer J clin 2005)

日本における口腔がんの疫学

日本での、口腔がんの患者は、国立がんセンターの資料によると

年間に発症した人数:6000人(1992年)→9200人(1999年)、癌患者全体の1.74%ほど、

年間に死亡した人数:2003年は5618人、がん患者全体の1.81%ほどとなっています。

男女比は世界中の割合とほとんど同じで3:2と男性のほうが多くなっています。

口腔がんは国によって有病率(人口におけるその病気の人の割合)が異なり、

日本は4.94人/10万人 となっており、調べた国の中では一番低い割合になっています。

ちなみに一番高いメラネシアでは 39人/10万人となっています。

主にインド、マレーシアを始め、中央アジアが高くなっています。

ちなみに西ヨーロッパは21.78人/10万人

北アメリカは11.69人です。

(Perkin DM et al. CA cancer J clin 1999)

口腔がんの危険因子

Dr.Den
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では次に、口腔がんになりやすい、なりにくいを左右する原因はわかっているのでしょうか?危険因子について説明します。

がんは種類によって、その人の持つ遺伝子の種類でかかりやすさが大きく変わるものがあります。

口腔がんに関しては、そのような遺伝的因子は影響されないようです。

口腔がんとの関連について科学的根拠のあるものは少ないのですが、

口腔がんの危険因子としてわかっているものは、喫煙、飲酒が2大危険因子です。

特に喫煙に関しては南アジアでは噛みタバコ(ビンロウジ)の習慣があり、このために、全部の癌の中で口腔がんが30%を占めるという、恐ろしい割合になっています。

これ以外で関係のあるのは、歯並びやあっていない詰め物、被せ物が常に当たっている、などの機械的な刺激、食べ物などの化学的な刺激も関係があるのでは(危険因子)と言われています。

 

口腔がんの見た目(所見)・特徴

Dr.Den
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口腔がんはどのような見た目をしているのでしょうか、特徴的な点はあるのでしょうか?

  • 色味が白いものと赤いものが混じっているような見た目
  • 原因になるようなものがないのに潰瘍になっている
  • 明らかに硬い
  • 菌が付き悪臭が出ている
  • 歯茎が顆粒状に膨らんでくる
  • 歯茎が凹んでくる

などの特徴がよくあげられます。

一概には言えませんが、良性のものはツルンと丸く、柔らかく、境界がはっきりしていますが、悪性のものは形が不正でゴリゴリと固く、境界がはっきりしていないイメージです。

痛みはある場合もあり、ない場合もあります。

特徴があるとはいえ、通常の方だと口内炎と見分けがつきにくいかと思います。

あまりに長い期間あり、しこりのようなものがあるのであれば一度専門機関に行くほうが良いかと思います。

口腔がんの部位と割合

どの位置に口腔がんができるか、そしてその割合について表にしてみました。

部位割合(%)
40.9
下顎歯肉19.1
上顎歯肉13.7
口腔底10.3
頬、臼後▼9.6
上顎洞3.4
口蓋2.0
不明1.0

口腔がんには、舌がん、歯肉がん、口腔底がん、上顎洞がん、頬粘膜がん、口唇がん、硬口蓋がんなどがあります。

多いのは舌がんで40.9%とおおよそ半分を占めます。その次の多いのは上下歯肉がんとなっています。

口腔がんのステージ

がんの話題になると、「ステージ」という単語が出てきます。

これは日本語では、「病期分類」と言います。

なぜがんではステージがよく話題に出て、重要視されるかというと、このステージによって治療方法と、5年生存率、という5年後生きているかどうかの確率がおおよそ予測されるからです。

このステージは、

  • 原発腫瘍の大きさ
  • 転移リンパ節の大きさ
  • がんが他の臓器まで飛んていないか(遠隔転移)

という3つの項目を評価し、決めていきます。これをTMN分類と言います。

 

補足※ UICC による口腔癌の分類(TNM Classification of Malignant Tumors 8th Ed. 2017)

T:原発腫瘍

原発腫瘍は以下のように評価します

TX :原発腫瘍の評価が不可能
T0 :原発腫瘍を認めない
Tis :上皮内癌
T1 :最大径が 2cm 以下かつ深達度(depth of invasion*; DOI)が 5mm 以下の腫瘍
T2 :最大径が 2cm 以下かつ深達度が 5mm をこえる腫瘍,または最大径が 2cm をこえるが
4cm 以下でかつ深達度が 10mm 以下の腫瘍

T3 :最大径が 2cm をこえるが 4cm 以下でかつ深達度が 10mm をこえる腫瘍,または最大径が
4cm をこえ,かつ深達度が 10mm 以下の腫瘍

T4a: 最大径が 4cm をこえ,かつ深達度が 10mm をこえる腫瘍,または下顎もしくは上顎の骨皮質
を貫通するか上顎洞に浸潤する腫瘍,または顔面皮膚に浸潤する腫瘍

T4b: 咀嚼筋隙、翼状突起,頭蓋底に浸潤する腫瘍、または内頸動脈を全周性に取り囲む腫瘍
・腫瘍周囲の正常粘膜により定義される平面からの浸潤の深さであり、腫瘍の厚みとは区別されるべき
とされる(AJCC Cancer Staging Manual 8th Edition, 2017)
・・歯肉を原発巣とし,骨及び歯槽のみに表在性びらんが認められる症例は T4a と評価しない

所属リンパ節(頸部リンパ節)

所属リンパ節は以下のように分類します

NX 領域リンパ節転移の評価が不可能
N0 領域リンパ節転移なし
N1 同側の単発性リンパ節転移で最大径が 3cm 以下かつ節外浸潤なし
N2a 同側の単発性リンパ節転移で最大径が 3cm をこえるが 6cm 以下かつ節外浸潤なし
N2b 同側の多発性リンパ節転移で最大径が 6cm 以下かつ節外浸潤なし
N2c 両側または対側のリンパ節転移で最大径が 6cm 以下かつ節外浸潤なし
N3a 最大径が 6cm をこえるリンパ節転移で節外浸潤なし
N3b 単発性または多発性リンパ節転移で臨床的節外浸潤*あり
*皮膚浸潤、深部にある筋肉や隣接構造物に及ぶ深部固着を伴う軟組織浸潤、神経浸潤の臨床症状が存
在する場合に臨床的節外進展と分類する
(正中は同側とする)

M:遠隔転移

遠隔転移は以下の様に分類します。

MX 遠隔転移の評価が不可能
M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり

病期(Stage)分類

これらを組み合わせてステージを分類します。

Stage 0 Tis N0 M0
Stage I T1 N0 M0
Stage II T2 N0 M0
Stage III T3 N0 M0
T1, T2, T3 N1 M0
Stage IVA T4a N0, N1 M0
T1, T2, T3, T4a N2 M0
Stage IVB すべての T N3 M0
T4b すべての N M0
Stage IVC すべての T すべての N M1

それぞれのステージの5年生存率は、調査によって値は若干異なりますが、

Ⅰ期が80%、Ⅱ期が70%、Ⅲ期が60%、Ⅳ期が30%

となっています。

口腔がんは何科を受診したらいいの?

口腔がんを専門に行っているかは口腔外科です。

口腔外科の詳細に関しては以前に記事にしています↓

舌や顎、お口の粘膜などを診る口腔外科とは?紹介状は必要?
舌や顎、お口の粘膜などを診てもらいたいと思っている人は多いのではないでしょうか?虫歯や歯周病以外の疾患を診る「口腔外科」について解説します。

 

病院によっては頭から上の手術を行う「頭頸部外科」という診療科で治療を行っている所もあります。

口腔外科を受診するには紹介状が必要となるので、受信したい方は一度歯医者さんに行くと良いでしょう。

口腔がんは歯医者に行ったら診てもらえるのか?

口腔がんについて心配で口腔外科に行きたいど紹介状がいるのか・・・。普通の歯医者さんでも見てもらえるのかな?

こう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに口腔がんに関しては積極的な治療は行いませんが、歯科医師は口腔外科関連の勉強は行ってきており、自分で処置はできなくても大きい病院に紹介したほうが良いかどうか、という判断は大体の先生はできます。

関連記事↓

口腔外科医と普通の歯医者さんとの違いは?口腔外科医になるには?
歯科医師も医師のように手術や外科的な処置を行っている「口腔外科」。口腔外科医と普通の歯医者さんとの違い、口腔外科医になる方法について詳しく解説します。

 

ですので、気になると思ったら、一度歯医者さんを受診することをおすすめします。

 

 

いかがでしたか?気になることは解決しましたでしょうか。少しでもお役に立てれば幸いです。

 

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