歯学部って周りに行っている人もいないし、どんな学生生活なんだろう。授業は?実習とかってどんなことをするのかな?
お医者さんもレアですが歯医者さんはもう一つレアな存在。
中には「歯医者さんになりたいな」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、身内の方に歯医者さんがいらっしゃるなどなかったら、歯医者さんになるための学部「歯学部」がどんな学部なのか知る機会がないのではないでしょうか。
そこで、今回は歯医者さんの卵である「歯学部」ってどんな学部か記事にしてみたいと思います。
2回シリーズで、
今回は「歯学部で何を学ぶのか、定員、難易度、学費、学生生活」についてご紹介します。
(次回は年度別カリキュラムについて、歯科医師になったらどのようなことができるのか、などについてご紹介します。)
私は一度別の学部を出てから入ったという経歴もあるので、他の学部に通った人が歯学部に行ったときに感じたことなどもお伝えできればと思います。
歯学部ってどんな学部?
そもそも歯学部ってどんな学部でしょう。
歯学部(歯学部歯学科)とは、
「歯と口腔(口と口周り)についての教育と研究を行っている機関」です。
歯科医師は歯の治療だけではなく、「口の機能」を回復させるという重要な治療も行っています。
お口の機能とは
- 食べる(噛む、飲み込む)
- 会話をする(発音、発語)
- 見た目(審美性)
といった機能です。これは歯を治療するだけでは治すことが出来ません。
なので、例えば
「噛む(咀嚼)、飲み込む(嚥下)」と言った食べるための機能の診断、治療
「口腔外科」などの、歯以外のお口の中の組織(舌など)の手術も含む治療
なども歯科医師の治療範囲内です。
↓★関連記事★「口腔外科と歯医者さん」について記事にしています。
特に最近は高齢者のお口の(口腔)機能低下が体の衰えと直結していることもわかり、高齢者医療と歯科の関わりはとても注目されています。
↓★関連記事★「オーラルフレイル(お口の衰え)」という医療分野について記事にしています。
このように、外科的な領域や高齢者医療など、実は歯科医師って、思っている以上にカバーするフィールドが広いんです!
ですので、歯学部では、このような歯科医師に求められている分野の勉強、歯のみではなく、お口の周りのことについてはすべて勉強します。
これらの内容を、実習を含め、6年間かけて勉強します。
また、大学は研究機関でもありますので、これらのお口に関係する領域について研究が行われています。
歯学部のある大学は?偏差値は?難易度は?歯学部を選ぶときのポイントは?
歯学部は国立大学が11大学、公立大学が1大学、私立大学が15大学、(一つの大学で2つ歯学部がある所もあるので、17学部)あります。
すべての大学を合計して一学年定員2500人ほどです。
ちなみに医学部の合計が9400人ほどですので、やはりだいぶ少ないですね。
国立大学(公立大学)の歯学部
国立大学の歯学部は11大学、公立大学は1大学あります。それそれの大学は以下の通りです。
- 北海道
- 東北
- 東京医科歯科
- 新潟
- 大阪
- 徳島
- 岡山
- 広島
- 九州
- 長崎
- 鹿児島
- 九州歯科
国立(公立)大学の歯学部の定員は?
国立大学の歯学部の定員はおおよそ43人から53人くらいです。少し前はもう少し定員60名ほどの所も多かったのですが、ここ10年で定員が減少しました。
また、以前は「学士編入」という他大学である程度の単位を修めた人が、2年時の途中から編入ができる制度が多くの大学でありましたが、今は、新潟大学、長崎大学、岡山大学の3大学のみになっています。
公立大学である九州歯科大学は定員が多く95人です。
国立(公立)大学の歯学部の難易度は?
では国立大学の歯学部に入るのはどのくらいの難易度なのでしょうか?
入学の難易度を測る物差しとして良く使用される偏差値で言うと、、
国立(公立)の歯学部の偏差値は66から60ほどです。(偏差値は何をサンプルにして出すのかで変わってきますので、あくまで目安として参考にしてください。)
偏差値順のランキングで言うと、
医歯薬系でいったら医学部よりは低い位置づけです。
偏差値の位置付けのイメージ的には、国立の中堅どころの薬学部~難易度の高い医学部保健学科あたりといったところでしょうか。
やはり最近の歯学部の不人気(歯科医師ワーキングプアや歯科医師国家試験の合格率の低さなど)が難易度に反映されているのは否めません。
今歯科医師している私の所感としては、この職業そんなに悪くないと思うのですがね。。
特に私は女性ということもあり、働き方や復帰時期が他の職業より断然選びやすいので、「歯科医師になって良かった・・・。」と常々思っています。
私立大学の歯学部
私立大学は以下の17学部あります。(一つの大学に歯学部が2つある所が2大学あります)
- 北海道医療大学
- 岩手医科大学
- 奥羽大学
- 明海大学
- 東京歯科大学
- 昭和大学
- 日本大学
- 日本大学(松戸歯学部)
- 日本歯科大学(生命歯学部)
- 日本歯科大学(新潟生命歯学部)
- 神奈川歯科大学
- 鶴見大学
- 松本歯科大学
- 朝日大学
- 愛知学院大学
- 大阪歯科大学
- 福岡歯科大学(口腔歯学部)
私立大学の歯学部の定員
私立大学の歯学部の定員は国立大学よりも多く80名から160名です。
私立大学で合計すると2050名ほどになります。
比較して国公立大学は650名ほどです。
ですので、歯科医師は私立大学出身の先生のほうが断然多いです。
私立大学の難易度
私立大学も、最近の職業として歯科医師が敬遠されがちなことと、歯科医師国家試験の合格率低下を受けて受験者が低下したことにより、定員割れの大学が出てくるなど、入学は易化傾向にあります。
こちらも、入学の難易度を測る物差しとして良く使われる偏差値で言うと、、
偏差値は学校によって大きく異なり、現在一番高い大学で58、一番低い大学で38です。
(偏差値は何をサンプルにして出すのかで変わってきますので、あくまで目安として参考にしてください。)
気になる歯学部の学費は?
歯学部を選択肢の一つに選ぶ上で考慮したい項目の一つが学費等の大学生活にかかる費用ではないでしょうか。
これから歯学部にかかる費用について挙げていきますね!
国立大学歯学部の入学金、授業料、その他費用について
国立大学の入学金、授業料は全て一律です。
- 入学金 28万2000円
- 授業料 53万5800円 となっており、
公立大学の入学金、授業料も同じく一律で、
- 入学金 39万3426円
- 授業料 53万7809円 (県外、県内で異なる)
となっています。大体6年間で350万円くらいです。
歯学部はプラス実習に必要な機材の購入があり、これが40万〜、
また、教科書などの専門書も高額で、一冊5000円、6000円とかかってきます。
医歯薬系の学部はどこもそうではあるのですが、学ぶ上で授業料以外のお金も少なからず必要になってきますので、受験する際は考慮しておいたほうがいいと思います。
ちなみに国立大学の歯学部の学生の懐感覚は?(n=1ですが・・。)
ちなみにここで書いてるのは他学部から歯学部に入った私の所感です。
私は他大学を卒業して国立大学の歯学部に入学してのですが、はじめに想像していたとおり、他の学部より少し華やかな感じがしました。
例えば、他学部だったときは車で通学する人はまれでしたが、歯学部だったら結構な人数いて驚きました。なんとなく服装も垢抜けていたような気がします。
しかし、ものすごくお金持ちか、といったらそういう訳ではなくて、多くの人がバイトして自分の自由なお金を得ている感じ。
私はごく普通のサラリーマン家庭出身だったのですが、友人との交友関係でそこまで金銭感覚がことなる感じはしませんでした。
ただ、やはり学費以外のお金(教科書代とかいろいろ・・)はたくさんかかるなあ、と思いましたね。。
まだ専門書を買い慣れていない2回生の時に解剖学実習があって、その時必要な教科書が1冊2万円で分冊になっていて、まあ仕方のないことかとは思いましたが買う時手が震えました。
そんな感覚で教科書を購入するので、6000円くらいのときは、「あ、安いな」と感覚が麻痺してきます。
私立大学歯学部の入学金、授業料、その他費用について
私立の歯学部の入学金、授業料などの必要な費用は学校によって大きく異なりますが、少なくとも国立と比較したら莫大な費用がかかります。
6年間にかかる学費は、最も安い大学で1880万円くらいから、高額な大学は3200万円ほどかかります。
それ以外も国立大学でも記したように、実習器具代、教科書代、また、私立の場合は授業のテストが不合格だった場合の再受験料などもかかりますので、そのような費用もかかります。
私は実際に過ごした訳でないので、聞いた話にはなるのですが、、
やはり、そのような高額な学費でも入学している人は、そのような費用に関しては負担にならない、という人が多いようです(つまりお金持ち)。
ですので、学生生活もそこそこお金が必要になるのでは、、と思います。
歯学部選びのポイント
ここ10年ほど、歯科医師国家試験の合格率は60%台から70%と国家試験としては非常に低い合格率になっており、
「歯学部に入学したのに歯科医師になれない」
という問題が発生しています。
また、大学別で合格率に開きが出ているのも事実です。
↓★参考リンク★大学別合格率
また、大学によっては国家試験の合格率に対しての懸念からか、卒業試験が厳しく、卒業自体が難しいところもあるそうです。
歯科医師国家試験はもちろん自分の力で頑張るものではありますが、入学してからしまったと思わないように調べておくほうが良いかもしれません。
今回は以上です!次回は年度別カリキュラムについて、歯科医師になったらどのようなことができるのか、などについてご紹介しますね。
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