歯科医師が新型コロナPCR検査OK?それでも歯科医院では検査実施しない理由

歯科医院にPCR検査を求められ困っている歯科医師歯科全般

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令和2年4月27日に厚労省が「歯科医師が新型コロナウイルスのPCR検査をしていい」っていう通知文を出したみたいなんだけど、、どういうこと?普通の歯医者さんで調べてくれる、っていうことなのかな?

厚労省は、今後、患者が増加した場合、PCR検査の拡充を計画しているようです。

そのような中、先日4月27日にPCR検査の一端を担うのに、歯科医師によるPCR検査が行えるように厚労省が法律を整備している、というニュースが最近報じられましたので、今回はニュースのもとになっている4月27日の通知文と、それに先立って行われた「PCR検査検査に係る人材についての懇親会」の内容について深掘りしていきたいと思います。

 

Dr.Den
Dr.Den

先に誤解されやすい点を言っておきますが、今回の通知文が出たからと言って、一般の開業している歯科医院ではPCR検査は行いません!

すでに、このニュースを聞いて、歯科医院でも、ちらほら「歯科医院でPCR検査しているんですか」?というお問い合わせもいただくようなのですが、

おそらく今後も一般の開業医さんでPCR検査を行うことはありませんでしょう。

Dr.Den
Dr.Den

なぜしないのか、行った時の危険性もお話していきたいと思います。

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厚生労働省の発表した今後のPCR検査の拡充の計画とは?

令和2年4月27日に厚労省が「新型コロナウイルス感染症に関するPCR検査のための 鼻腔・咽頭拭い液の採取の歯科医師による実施について」という通知文を出しました。

 

この通知文にはどういうことが書かれているのか、ということなんですが、

 

まとめてみますと

①感染者の増加に備えて検査体制を拡大したいんです。
②検査するには鼻腔・咽頭拭い液の採取を行う必要があるんです。それには人出が必要です。
③新型コロナウイルス感染症が拡大している地域は、地域の医療提供体制を維持しつつ、更なる検査体制の充実を図る必要があるんです。
④そこで、本当は歯科医師の業務(歯科医行為)の範囲を超えていて、医師法17条に引っかかるんだけど、今回に限っては国の一大事だから限定的に許してあげますので協力おねがいします。
⑤許す条件として研修を受けてもらうね

 

と言った内容です。

 

①②③:PCR検査拡充に歯科医師が必要な理由

感染者は1ヶ月前と比べて増加しています。(令和2年4月27日現在)

今後どうなっていくかはわかりませんが、増加に対しての何らかの備えはしなくてはなりません。

Dr.Den
Dr.Den

その一つは検査体制の増強です。

 

検査をするには採取する人が要ります。現状では医師、看護師、臨床検査技師です。

しかし、今は治療の為の人出が必要。現在治療にあたっている人から人出を出すと医療崩壊が起きてしまいます。

 

医療崩壊を起こさずに検査を増やす方法として

「口腔領域に知見を 有する歯科医師にも検体採取に参加してもらう」

ということになったようです。

 

PCR検査に使用する検体は

「鼻腔、咽頭拭い液」といって、鼻腔に綿棒を入れて採取します。

歯科医師の治療可能な領域は本来、「口腔・顎顔面領域」といって

お口と顎から顔の骨にかけてまでなのですが、歯学部で頭と首である頭頸部の解剖や、ウイルスに関しての知識は学習しています

本来は、医師法17条に抵触するものの、

 

  1. 他の職種(医師、看護職員、臨床検査技師)による実施が困難であること。
  2.  直ちに検査を行わなければ感染が急速に拡大する等の緊急性を要するという状況下であること。
  3.  本来実施することのできない歯科医師が検体採取を行うことについて患者が同意していること。
  4.  適切な処置を行うために必要な教育研修を受けた歯科医師が実施すること。

という条件を満たしていたら

今回は医師や看護職員のリソースを患者の治療に充てるため、口腔領域に 一定の能力を有する歯科医師が検体採取を実施することについて、やむを得ないものとして取り扱うこととしてはどうかということになったようです。

 

この通知文がでる前日の4月26日に、医道審議会医師分科会及び歯科医師分科会といった、医科と歯科の両方の専門家と行った「PCR検査検査に係る人材についての懇親会」が行われました。

そこでこのようなお話が出たのですが、

研修の内容についての質問はあったもの反対意見はなく、

では、ということで4月27日の通知文へと至ったようです。

歯科医師がPCR検査の一端を担うことに対しての歯科医師会の考え方

これに対して日本歯科医師会は4月27日、この通知文について、現時点で確認できている事項を整理し、日本歯科医師会の考え方をとりまとめました。

 

Dr.Den
Dr.Den

結論から言ったら、反対はしませんでした。

・医療崩壊を防止するために、協力します
・PCR検査体制の増強にあたり、歯科医師の参画がどうしても必要な状況であれば、日本医師会の了解および地域医師会の要請の下に協力します
・研修については厚生労働省が主体となり、学会等の協力の下に教材製作および実施体制を整備、Eラーニング研修実施等の協力します
・ワークフロー、防御服の確保等の感染防御体制、研修、費用弁償などの概要が分かり次第、都道府県歯科医師会へ改めて通知します

 

といっています。

 

そして、実際に人員に当てられる歯科医師としては

対象病院歯科・口腔外科の歯科医師や、歯科麻酔医等がとなるのではといっており、

・それ以外の、歯科医師会会員の協力については、地域における医師会と歯科医師会、地域行政等との連携に基づく対応となります

 

とのことです。

これは私の想像ですが、

Dr.Den
Dr.Den

初めはそれぞれの病院の発熱外来や現行の帰国者、接触者相談センターに委託されている病院に勤めている歯科医師が今行っている医師と置き換わるのではないかなあと推測しています。

Dr.Den
Dr.Den

それでも人員が足りない場合はそれぞれの地方の歯科医師会に声がかかるのではないかなと思います。

 

どこでPCR検査を行うの?

今後新型コロナウイルスの感染者が増えたとき、PCR検査体制を増強するということはわかったけど、どこで増強するの?歯医者さんができるようになるってことは地域の歯科医院?

と思われるかもしれませんが、

 

Dr.Den
Dr.Den

それは違います。

歯科医師がどこでPCR検査を行うかということに関しては言及していませんでしたが、

想定されるのは、

現在実施されている病院の発熱外来や、都道府県が設置している帰国者接触者外来。

 

それと、今はまだありませんが、

4月26日の懇談会で計画に出てきた地域の医師会が都道府県から委託運営される地域外来・検査センターのようです。

 

将来的なPCR検査の増強体制として、今は都道府県が担っているPCR機能を地方の医師会に委託しようと考えているようです。

おそらく、今後感染者が多い地域などは、地域の実情に合わせて医師会と行政が協議し、地方医師会が「帰国者、接触者外来(地域外来・検査センター)」を設け、実施していくようになるようです。

PCR検査が拡充されても一般の開業医ではPCR検査をしないであろう理由

 

このように、PCR検査拡大のために、研修を受けた歯科医師がPCRの検体を採取できる体制は整いましたが、

 

Dr.Den
Dr.Den

何度も言いますが、決して、PCR検査をどこでも簡単に行うために、一般の開業医の歯医者さんでも行います、っていうことにはならないと思います。

これは普通の歯科医師の私でもわかります。

それは、危険ばかり多くてメリットが少ないからです。

その理由をお伝えします。

①新型コロナに感染しているかもしれない人が市中に無秩序に押し寄せる。

私はこれが一番危険だなと思います。

アメリカでは新型コロナウイルスが大流行していますが、この原因は、新型コロナウイルスの検査が無償でできるようになったため、検査場に多くの人が詰め寄せ、そこで感染が拡大したと言われています。

市中の開業医で簡単に検査ができるようになったら、疑わしい人が大勢駆けつけて、その中の本当にかかっている人がかかっていない大勢の人にうつしてしまうかもしれません。

②もともと感度の高い検査ではない

もともと、新型コロナウイルスの検査は感度が低いです。本当に感染している人が陽性とでる割合は大体30%から70%くらい、安心を買うたぐいの検査ではありません。

あなたは自分が新型コロナウイルスにかかっているかもしれない、もしかしたら違うかもしれないと微妙だけど検査したいと思ったとき、検査して得たいものは何ですか?

それは検査して陰性だった、という安心感だとおもいます。

しかし、この検査は陰性でも安心はできません。

Dr.Den
Dr.Den

陰性でも30%から70%は陽性かもしれないと思ったら逆に不安になりませんか?

もし何日も熱が出て、新型コロナウイルスのような症状があるのでしたら

行くべきは病院ですし、(一般の歯科医院→PCR検査というラインを増強していくのだと思います)

無症状だけど心配、という人はなおさら陽性ってでません。おそらく出ません(でも陽性かもしれないけど)。

それが今のPCR検査の限界です。したとしてもお金を出して不安を買うことになるでしょう。

検査は万能ではありません。それが真実です

不安だから測る、というのは医学的ではありませんのでそのようなものの片棒を歯科医院は担がないと思います。

感染防御に負担がかかる・検体の運搬時にコロナウイルスが付着してしまうかも

一般の開業医さんは、今も緊急性のある歯科治療を行っています。

そのような治療と並行して行う、ということはナンセンスです。

PCRの検体は新型コロナウイルスが最も出ているであろう鼻腔咽頭拭い液を取ります。その検体そのものが非常に感染性の高いものです。

Dr.Den
Dr.Den

そのような検体を採取するときは、十分な感染防御をしないといけませんし、感染防御を行ったとしても、検体の運搬などでウイルスがいつ付着するかもわかりません。

感染のリスクは非常に高くなるし、ただでさえ感染防御に必要な医療物資が足りない昨今、それぞれの開業医にそれだけのものを用意はおそらくできないでしょうし、もしあるのであればそれは本当に必要な最前線の病院に回すべきです。

 

 

 

Dr.Den
Dr.Den

いかがでしたか?厚労省が出した、「歯科医師がPCR検査を行う」通知文について、情報はお役に立てたでしょうか?

今後も医療従事者として皆様の健康を守る情報をお届けしていきたいと思います。

みなさんご覧いただきありがとうございました!

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