経産省次亜塩素酸水等の販売実態ファクトシート簡単解説

新型コロナウイルス予防のための消毒歯科全般

★★動画を作成しました。そちらも合わせてご覧ください★★
↓↓

 

Dr.Den
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今回は、令和2年5月29日に経済産業省が発表した、「次亜塩素酸水」等の販売実態について(ファクトシート) の内容についてお話をしていきたいと思います。

なお、内容は随時更新されており、この動画作成時の1番新しいものが6月9日付で出ていますので、今回は6月9日の改訂版、「次亜塩素酸水」等の販売実態についてのお話です

 

新型コロナウイルス、一時に比べて感染者数も落ち着き、自粛も解除となってきましたが、まだまだ必要な消毒液は不足しています。

Dr.Den
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そのような中で、注目されているのが次亜塩素酸水です。

次亜塩素酸水は安全性が高いが有効性も高く、新型コロナウイルスに対しての効果も期待され、非常に使い勝手のよさそうな製品です。

その反面安定性が悪いなどの欠点もあり、、、

かたや安全だという専門家もいれば、危険だという専門家もいて、消費者としては、

使っていいのか悪いのかわからないと判断に困っている

というのが現状ではないでしょうか。

このような背景を鑑みたのか、5月28日に、経済産業省の「新型コロナウイルスに対する代替消毒方法の有効性評価に関する検討委員会事務局」が、「次亜塩素酸水」等の販売実態について(ファクトシート)を発表しました。

このファクトシートは随時改訂されていますので

 

Dr.Den
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今回は、現時点で最新盤の6月9日付の「次亜塩素酸水」等の販売実績について(ファクトシート)の内容について、簡単にまとめてみました。

分量のあるファクトシートですが、この内容がわかると、

  • 通商産業省の次亜塩素酸水におけるスタンス
  • 「次亜塩素酸水」製品に表示されていることの意味合い
  • 選ぶときに注意するポイント

 

がわかるようになりますので、ぜひ最後までご覧いただければと思います。

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そもそもこのファクトシートとはどんなもの?

Dr.Den
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そもそも、今回のこの資料はどのような意味合いで出されたものなのでしょうか、

それに関しては、この資料の冒頭に

「 本資料は、「次亜塩素酸水」が、国民の皆様の自主的かつ合理的な選択の下で有効に利用され る観点から、事業者等における今後の対応における参考として、現時点での知見及び調査状況 をもとに、販売の実態をまとめたものです。 」

と、記されています。

また、NITEの中にある「よくあるお問い合わせ」の中でも
Q:
「ファクトシート」は、経産省・NITEの見解として出されたものですか。
A:
本資料は、新型コロナウイルスの消毒において期待される「次亜塩素酸水」について、その販売実態や空間噴霧をめぐる事実関係を、現時点までに得られた情報に基づいて経済産業省がまとめたものです。経産省やNITEとして何らかの見解を示すものではありません。今後、新たな知見が得られましたら随時修正が行われます。

 

引用文中の個々の部分、「経産省やNITEとして何らかの見解を示すものではありません」との表記がありますので、

今回のこのファクトシートは決して経済産業省やNITEの見解ではなく、世の中にある次亜塩素酸水の商品群やその販売実態を見て、どのようになっているのかをまとめたもの、として発表されているので、何らかの強制力がある資料ではなさそうです。

ファクトシートの中身を見てみると、項目の部分は
Ⅰ. 「次亜塩素酸水」等の科学的特性から必要な表示内容について
Ⅱ.有効性や安全性の根拠について
Ⅲ.使用上の注意
Ⅳ.その他、自主的かつ合理的な選択を妨げ、あるいは法令違反のおそれがあるもの

とあり、これらの内容に関しては後で詳しく説明しますが
ざっくりまとめますと、

経済産業省が次亜塩素酸水の販売実態を調査したら、多くの製品は正しく選択して購入、使用するために必要とされている情報がないものが多いですよ。
という内容です。

 

Dr.Den
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無いから悪い、とまで入ってませんが、無いと正しく選べない、くらいまでは言っちゃってるニュアンスですので、結構踏み込んだこと言ってますね。

ですので、このファクトシートの意味合い、役目としては

消費者の方々にとって

次亜塩素酸水の購入の際に書かれていたら、購入する際に正しく判断ができるようになりますし、正しく判断はできないながらも、少なくともこれらの項目が記載されているかいないかというところで、製品販売に関して誠実な会社なのかどうかということを推し量る判断材料になります。

メーカー側にとって

ファクトシートそのものに法的な強制力はないものの、今回のファクトシートで指摘された項目を満たしていないものは次亜塩素酸水を有効的に活用する条件を満たしていませんよ、場合によってはあなたのその表現、法に引っかかってますよ、という警告を暗に匂わせているものだと言えそうです。

実際、このファクトシートが出てから、次亜塩素酸水の販売業者さんたちの多くが今回指摘された内容を含めた製品情報や製品安全データシートなどを、ホームページなどで開示するようになりましたので、消費者にとってはより良い選択ができる一助になったのではと思います。

Dr.Den
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また、注意しておきたいのが、この部分です。

「 注:現時点において、「次亜塩素酸水」の新型コロナウイルスへの有効性は確認されていない。」
と冒頭に記載してあって、
今回のファクトシートでは、次亜塩素酸水が新型コロナウイルスに
有効かどうか、という点については触れてはいません。これに関してはNITEの結果待ちですね。

「次亜塩素酸水」等の科学的特性から必要な表示内容について

 

Dr.Den
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ここから内容‥と行きたいのですが、まずは前提についてのお話です。

今回のファクトシートでは
本来の「次亜塩素酸水」は塩酸などを電気分解でえられた溶液を指しているのですが、
販売されている現状としては
次亜塩素酸ナトリウムに酸を混和するなど、電気分解以外の方法で製造した「次亜塩素酸 を主成分とする酸性の溶液」も次亜塩素酸水として販売されているのです。

今回は、販売実態の調査ですので、便宜的にどちらも「次亜塩素酸水」

(電気分解して製造された本来の次亜塩素酸水は電解次亜塩素酸水、

そうでないものは非電解次亜塩素酸水)と呼称しています。

Dr.Den
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では、ここからファクトシートの内容です。

まず、通商産業省は
「次亜塩素酸水」等の性質や取扱において製法と原料が基礎的な情報となる。また、「次亜 塩素酸水」等の効力は「有効塩素濃度(残留塩素濃度)」と「酸性度」が指標となる。

と言っています。
でも、そのような事項について明記されていないものが多いとのことでした。

1)製法と原料

 

Dr.Den
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製法とは、食塩を電気分解して作ったものなのか、それとも液を混合して化学反応させて作ったものなのか、などです。

そのような製法によって原料や化学反応も異なってきます。

どの製品も絶対何らかの方法で製造されているのでこのような情報は書けるはずなのですが、

なぜだか記載されず「特殊」「他にはない」「特許取得」など目を引くワードの羅列のみで書かれていない製品多いですよね。。

2)液性、濃度、成分

次に、次亜塩素酸水の購入を検討する際に必要な情報
・pH
・次亜塩素酸濃度、
・「次亜塩素酸水」そのものについては製造日及び使用可能期間、使用可能期間中における次亜塩素酸濃度の 低減
・「次亜塩素酸水」を生成できるとうたった製品の販売にあたっては、製品としての使用可能期 間(適切な液性・濃度の次亜塩素酸水が生成可能な期間)及び生成後の液体の使用可能期間、次亜塩素酸濃度の低減
・ 次亜塩素酸以外の成分

以上の項目が明記されていないものが多かったとのことです。

次亜塩素酸水を購入して使用する際に、最も注意しなければならないポイントは、「次亜塩素酸水中の次亜塩素酸の活性がない状態になっていないか」です。
それにはpHや液中の次亜塩素酸濃度がキーになってきますし、

もっと言えば、メーカーがあらかじめ確認してあるであろう使用可能期間を明記しておいてほしいところです。

また、電気分解法以外の製造方法やpHの調整などで、他の物質を入れているのであれば明記してほしいところです。

有効性や安全性の根拠について

次は有効性や安全性の指摘事項です。

消毒・除菌等の有効性の根拠が明確でないものが多い。

確かにそうですね。次亜塩素酸水一般的な有効性を説いていても、じゃあこの次亜塩素酸水はどうなの?というものが多いように思います。

さらに、有効性試験を行っている場 合でも、国際規格(ISO)、国家規格(JIS)、団体規格等で規定されている評価法を用いていない ものがある

殺菌や除菌であれば、定められた規格のものがあり、それならば他の製品との評価もしやすく信頼性が上がります。

結果の表示にあたっても、試験実施時期、用いた手法、試験機関、結果等が 明示されていない場合がある。

これも、本当に行って効果があれば簡単に記載できる内容ですし、消費者としても選択しやすくなりますね。

それ以外でも、安全性の根拠があやふやなものが多い

よく「食品添加物だから安全」という言葉を聞きますが、、

Dr.Den
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食品添加物だから安全、という訳ではありません。

確かに食品添加物としての認可はでとっていますが、

例えば、食品工場などでお野菜を洗う際の殺菌、などが使用用途であり使用する際でも最後は残留がないように洗い流すことと決められています。

食べても大丈夫ということとは全く異なりますので、「食品添加物だから安全」というのは全くの根拠がありません。

その他

(1) 有人空間での「次亜塩素酸水」等の噴霧によるウイルス対策が、公式に認められていると誤 認させるような表示を行う例がある。
(2) 他社製品の有効性・安全性を誹謗するような広告を行っているものがある。

 

その他に関しては、次亜塩素酸水の空間噴霧というファクトシートが別途出ていますので、また別途取り上げて、次回以降にお話ししていきたいと思います。
2)に関しては、悲しいかなこのような現状があるようです。

使用上の注意

Dr.Den
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次は、使用上の注意です。

まずは安全上の注意事項

(1) 酸と混ぜた場合や保管中等に塩素ガスが発生する可能性があること、通気性の良い場所に 保管すべきことを記載していないものがある。

「次亜塩素酸水は安全」といわれますが、pHが変化したらそうとも言い切れません。
次亜塩素酸水はpHが低く、いわゆる酸性になっていくと塩素ガスを発生しますので、酸性のものとませないようにする必要があります。

 

次亜塩素酸ナトリウム等と混同して使用すると危険であることを記載していないものがあ る。

これは実は間違っている方が多いです。

次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水は違いますし、次亜塩素酸ナトリウムを薄めたら次亜塩素酸水になるわけではありません。

次亜塩素酸ナトリウムには水酸化ナトリウムが入っていて、場合によっては皮膚が溶けたり失明したりと健康被害が起こるので絶対間違えないで下さい。

Dr.Den
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つぎは有効性を維持するための注意事項です。

(1) 有機物によって分解されるため、予め対象物の汚れを落としておくべきことを記載してい ないものがある。

(2) 紫外線によって分解されるため、遮光性の容器に入れるか冷暗所に保管すべきことを記載 していないものがある。

次亜塩素酸水の有効成分の次亜塩素酸は、有機物や紫外線によってすぐ分解されるため、効果的に使用するためにはこれらのことを守ることが必須になりますので、使用上の注意の部分にはのせてほしいところです。

その他、自主的かつ合理的な選択を妨げ、あるいは法令違反のおそれがあるもの

次亜塩素酸水の広告って、もちろんすべてがそうなわけではありませんが

手にやさしい消毒剤!

とか、

特殊な特許製法!

とか、

消毒!とかインフルエンザ対策!
とか、

これ言っていいの?という表現を用いた文言で広告して販売しているものが多いように感じます。

Dr.Den
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でも、それ本当は法令違反です。

 

1.薬機法に基づく承認を得ていないにもかかわらず、手指・人体への効果を謳っている
2.特定の効果・効能を謳っている。
3.薬機法等、関連する法令に抵触する名称を用いている。
4.特許番号を明示せずに、又は特許化されていない技術について、「特許」を優良である根拠と して記載しているものがある。

日本は
「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」

通称薬機法

という法律があって、

人の体に使用する製品は非常に厳しく規制されています。

身体に使用したり、消毒や殺菌といった効果を謳うためには医薬品か医薬部外品の認可を取らねばならず、

今のところ次亜塩素酸水で医薬品の認可を取っているものは1品だけなので、ほぼすべての次亜塩素酸水は体に使う効果については言ってはいけないことになっています。

それ以外にも、
・不正競争防止法
・不当景品類及び不当表示防止法
・消費者安全法第5条

などに抵触する表現を使って販売している次亜塩素酸水の製品も多いとのことです。

まとめ

今回のファクトシートで販売の現状が明らかにされたことによって、

消費者の立場から言えば、

本当に次亜塩素酸水なの?

と疑うようなうさん臭い製品は淘汰されて、

広告からは大げさな部分や紛らわしい部分がなくなり、

次亜塩素酸水を選択して購入する上で必要な情報は目に入りやすくなる、

と徐々になってくるのではないかなと期待しています。

きっとしっかりとした商品開発を行ってるメーカーであれば、暗に求められている改善事項はそこまでハードルは高くないだろうし、逆に、そうでない製品と比べて市場で優位性をつけることがいい機会なのではないかと思います。

Dr.Den
Dr.Den

次亜塩素酸自体は使用の方法によってはとてもいい製品だと思いますので、ぜひ、いい方向で自浄作用が進んでくれるといいですね。

いかがでしたか?経済産業省が出した、次亜塩素酸水」等の販売実態について(ファクトシート) の内容についてお話、お役に立つことはできたでしょうか?今後も医療関係者として皆様の健康を守る情報をお届けしていきたいと思います!

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