お口の中で歯じゃなくて気になるところがあるんだけど‥‥。普通の歯医者さんでいいのかな?大きい病院で、「口腔外科」っていう科があったけど、そういうところで診てもらうほうが良いのかな‥?
口腔や舌にできたできものや、しこり、ただれ、ぶつぶつ・・・。
虫歯や歯周病以外にもお口の疾患は色々あります。
それらの病気はどのような病院で診てもらえるのか?診てもらうにはどうすればいいのか?
このような疑問をお持ちの方は多くいらっしゃるかと思います。
虫歯や歯周病以外のお口の中の病気は「口腔外科」という診療科がカバーしています。
今回は、そもそも「口腔外科」とはどのような診療科なのか、どのような疾患が「口腔外科」の診療の範囲なのか、「口腔外科」にかかる方法などについて、詳しく解説していきたいと思います!
そもそも口腔外科とは?
総合病院など、少し大きい病院に行くと「口腔外科」という診療科があります。
名前にもあるように、お口(口腔)に特化した外科です。
一般的な歯科で扱う虫歯や歯周病以外の顎口腔領域、すなわちお口の粘膜、舌、顎の骨などの疾患を扱う専門科として存在しています。
なぜ口腔外科は普通の外科と分かれているの?
お口も体の一部なのに、なぜお口だけ分かれているの?と思うかもしれませんが、これには理由があります。
お口は、非常に多くの機能を持った身体の臓器です。
- 食べ物をかみ砕き、飲み込むといった機能(咀嚼、嚥下)
- しゃべる機能(構音)
- 見た目
これらの機能をすべて満たすには筋肉や歯の並びなど非常に繊細な調整と専門的な知識が必要です。
日本では、これらの専門的な知識や調整の方法に関しては歯学部で学びます。ですので、お口の中のことに関しては医師よりも歯科医師のほうが基礎的な知識は専門的に学んでいます。
特に手術を行った後、歯の並びを補わなければならないときなどは歯を治す専門知識が必須です。
それもあるので、お口の中の外科に関しては歯科医師が中心となって行っているという現状があります。
口腔外科で行われている主な診療内容
お口の疾患(舌、歯肉、粘膜など)
お口の中に何かできものが出来た。膨らんでいる部分がある、痛い、色が変わっている部分がある‥。
これらのの多くは虫歯や歯周病が原因の事が多いのですが、それ以外の原因でそのようになっている場合があります。
そのようなお口の疾患については口腔外科の領域になってきます。
口腔粘膜疾患
例えばこのような疾患があります。
- お口の細胞が通常と異なった増殖をすることにより生じる、白板症、紅板症
- お口の中でカンジダ菌というカビが増殖して生じる、口腔カンジダ症
- 痛みを伴う小さな口内炎である、再発性アフタ
- 白く帯状に角化異常を起こした状態の、扁平苔癬
- ヘルペスウイルスが原因で痛みを伴う、ヘルペス性口内炎
- 水疱瘡のウイルスが原因で生じ、痛みを伴う水泡が出来る、帯状疱疹
- エンテロウイルスやコクサッキーウイルスが原因で生じる、痛みを伴う赤い発疹が出来る、手足口病
などです。
嚢胞
虫歯や歯周病が原因でも口腔外科で処置を行った方が良い場合もあります。
その一つが嚢胞(のうほう)です。
これは、お口の中で細菌が骨を溶かし、骨の中に膜状(上皮性)の膿の袋を作った場合です。
膜状の膿の袋は放置していても治る可能性が低いのと、大きさによったら他の歯にも影響が出てしまいますので、口腔外科で膿の袋を外科的処置(手術)で除去することになります。
膿の袋以外にも、顎の骨の中に色々な理由で袋が出来る事があります。
そのような袋がある場合は、除去する必要があるのか、除去しないで経過観察するのかという判断も含め口腔外科で診ることになります。
口腔内の腫瘍(良性、悪性)
口腔内にできもの(腫瘍)が出来た時も、口腔外科の領域になります。その腫瘍が良性か、悪性か、手術が必要かを判断した後、しかるべき処置を行います。
手術も口腔外科の範囲内です。
歯科口腔外科の診療領域の対象は、原則として口唇、頬粘膜、上下歯槽、硬口蓋、舌前3分の2、口腔底に、軟口蓋、顎骨(顎関節を含む)、唾液腺(耳下腺を除く)を加える部位
と口腔外科が出来る範囲は定まっていますが、この範囲内にある場合は口腔外科で行います。
親知らずの抜歯
親知らずの抜歯は難易度があって、抜くが簡単な場合と難しい場合があります。
(過去記事↓)
「親知らずを抜きたい」と一般的な歯科医院を来院しても、ここで抜歯するより口腔外科で抜歯したほうが良いと判断した場合は口腔外科への紹介となります。
どのような時に紹介となるかは過去記事に記載しています。
ただ、口腔外科の中には、顎の疾患に特化しているために親知らずの抜歯を行っていない所もあります。
外傷
交通事故をはじめとした不慮の事故で、顔面を負傷し、顎の骨が骨折してしまう場合があります。
顎の骨の骨折の場合、顎の骨をつなぎ合わせるのと、上下の顎を固定するのは口腔外科の範囲になります。
他の診療科でも処置することは可能なのですが、かみ合わせやお口の機能を回復させることまで考えて固定することが出来るので、口腔外科の本領が発揮される分野です。
顎関節症
顎がかくかくする、音がする、口が開きにくいなどの症状は、顎関節に何らかの異常のある「顎関節症」という病気の場合があります。顎関節症も口腔外科の範囲になります。
口唇口蓋裂等の先天性疾患
生まれつき、本来くっついていないといけない上あごの骨がくっついていない、口唇口蓋裂という先天性疾患があります。
(過去記事↓)
その他
唾液腺関連ドライマウス、神経性疾患、口臭症など手術を伴う矯正が必要なケース(顎変形症) インプラント
口腔外科で診察を受ける方法
まずは一般的な歯科医院への受診を
「口の中に異変がある…」と思っても、ご自身では自分のお口の中の異変がどのようなものかわかりずらいと思います。
また、口腔外科は紹介状のある方のみ受診可能な所が多いです。
ですので、まずは口腔外科に受診する前に一度一般的な歯科医院を受診して、どのような状況かある程度見極めて貰うのが良いかと思います。
歯科医師は一通りの口腔の疾患に関しての知識は持ち合わせていますので、お口の中の異変が口腔外科での診察や処置が必要なものか、緊急性が高いものかどうかを判断する知識は持ち合わせています。
ですので、
紹介状を書いてもらうのがベターだと思います。
紹介状の料金は?
紹介状の費用は保険点数で定められています。
保険点数というのは、保険診療の項目に従って歯科医師が患者さんと行政に請求できる診療に対しての報酬です。
点数制になっていて、診療の項目によって点数が決められていて、1点10円で請求できます。
この点数のうち、患者さんは1割から3割を負担します。
この保険点数で言えば、歯科医院から口腔外科への紹介状は 250点 という点数が付いています。
250点なので、2500円という事です。3割負担だったら750円という事ですね。
実際はこれに諸経費(再診料や管理料など)がプラスされるので、500円くらいはプラスになるとみておいた方が良いでしょう。
歯科医院で書いてもらった紹介状を持って受診を
このように、歯科医院で今の病状を書いてもらった紹介状を持って、歯科医院が紹介してくれた口腔外科を受診するとスムーズに受診が出来ると思います。
いかがでしたか?口腔外科について、あなたの知りたい疑問は解決できましたか?すこしでもお役に立てたら幸いです!
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